リューは、もう1人の共同創業者である工業デザイナーのサイモン・ラウメンとともに、自立型の自転車ラックに後づけ可能なスマートフォンで施錠・解錠が可能な自転車用の頑丈なチェーンロックを開発した。それを、オフィスビルや集合住宅、ショッピングセンターなどの敷地内にある自転車ラックに設置してほしいと彼らは考えている。
モサは創業してほぼ3年が経つが、もともとは「GoVelo(ゴーベロ)」という名称で知られていた。
リューはこの改名について「私たちは、自転車や電動自転車、電動スクーター、カーゴバイク(荷物運搬用自転車)を安全に駐輪できるサービスを提供している。ただ、社名がゴーベロだと、自転車ばかりをイメージさせるのではないかと考え、改名することにした」と話す。
45歳のリューは以前、iPhone生産を請け負う台湾の有名企業Foxconn(フォックスコン、鴻海科技集団)で働いていた人物だ。リューとラウメン(34歳)は、自転車関連スタートアップでともに働いていた。さらに、すでに廃業した移動型の自転車修理会社Honor Cycles(オナー・サイクルズ)でも同僚だった。
「私たちは2人ともサイクリングに情熱を持っている。自転車は、どんな人でも広く受け入れるところがあり、そういうところに強い思い入れがある」とリューは話す。「安全な駐輪場を、収入を問わずどんな人でも利用できるようになるべきだと私たちは確信している」
モサ独自のソフトウェアとハードウェアから構成されるスマートロックは、自転車ラックを設置している地所の所有者や管理者に、サブスクリプション形式で提供される。デジタルダッシュボードにアクセスして、稼働率などのデータも確認可能だ。
一方、サイクリストや電動スクーターに乗る人は、モサのアプリ上で、駐輪したい場所にあるスマートロックの利用予約をする。その後、暗号化キーがスマートフォンに送信されてくる。スマートフォンの近距離無線通信でスマートロックを起動し、受け取っていた暗号化キーをBluetoothで送信して本人確認を行えば、利用可能になる。
モサのハードウェアを製造したのは、世界最大の高級自転車メーカーである、台湾のGiant Manufacturing(ジャイアント・マニュファクチャリング)だ。