共同研究では、50歳以上で「まごチャンネル」の新規利用を開始したユーザーのうち、抗精神病薬の服用がないなどの条件を満たした人115人を対象に調査が行われました(平均年齢74.3歳)。参加者には3カ月間「まごチャンネル」を使って、週に1回以上の頻度で送られる動画や写真を見てもらいました。すると、利用開始から日にちが経過するにつれて、遠方の家族との会話頻度が増したばかりか、同居家族との会話時間も増え、同居家族への満足度も高くなっていました。
また、被験者の途中離脱率は7.8パーセントと低く、サービスに対する満足度は10点万点で平均9ポイントときわめて高いこともわかりました。家族とのコミュニケーションが、いかにQOL(性格の質)の向上に寄与するかが示された形です。
また、長寿医療研究センターが2017年に行った調査では、社会とのつながりが多い人ほど認知症の発症リスクが低いという結果が示されています。「配偶者がいる」、「同居家族との支援のやりとりがある」、「友人との交流がある」、「地域グループ活動に参加している」、「なんらかの就労をしている」の5項目をそれぞれ1点とした場合、0〜1点の人にくらべて5点の人は認知症発症リスクが46パーセントも低かったのです。
チカクの共同創業者であり工学博士の佐藤未知氏はこの研究から、遠隔コミュニケーションツールで高齢者が社会とのつながりを保つことで独居高齢者の社会的孤立を解消できる可能性があり、こうしたツールが社会保障費の抑制に寄与するならば、社会的インフラとして整備することも一考に値すると話しています。
この研究は「対照群を設けていない試験的なもの」なので結果の解釈には注意が必要とのことですが、話す相手がいるといないとで生きていくうえでの心持ちが大きく変わることは、誰もが体験していることでしょう。それが数値で示されたことには大きな意義があると言えます。
プレスリリース