「超広域衛星センシングプラットフォーム」と呼ばれるこのシステムは、地上と宇宙をシームレスにネットワークすることを目指したNTTの「宇宙総合コンピューティング・ネットワーク構想」のなかの「宇宙センシング」事業の基盤となるものです。通常の衛星通信と大きく異なるのは、高価な衛星通信専用機器や専用周波数を使わず、地上で普通に使われているものと同レベルの機器で、衛星通信網を便利に使えるようにするという考え方です。
今回の実験では、家庭用のルーターにも使われている、複数のアンテナを使って一度に大量のデータ通信を可能にするMIMO技術を衛星通信に適用した高速通信の実証を行います。
また、IoT機器に多く使われている、省電力の遠距離通信技術LPWAでの衛星通信も試されます。LPWAは、欧米とアジアでは920メガヘルツ、欧州では860メガヘルツの周波数帯が使われていますが、これらの電波の衛星への到達度を調査します。
さらに、人里離れた場所などに展開されるIoT機器を数年単位で長期運用できるように、衛星が上空に差し掛かったときにだけ自動的に起動して通信を行う省電力型の運用技術も試されます。
これらの技術を確立することで、海上ブイを用いた面的な海洋気象観測による気象予測精度の向上、河川監視による水害事前検知、地上通信網が整備されていない海洋や山間部などでのIoTデバイス活用やセンシングサービスの提供が可能になるとNTTでは話しています。また、衛星通信がぐっと手頃に身近になり、衛星ビジネスが一気に普及することも期待されます。
NTTは、2026年に商用衛星を打ち上げて、宇宙センシング・サービスの提供を開始する予定です。
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