キャリア

2023.02.15 09:30

有色人種の女性は白人男性と比べて低い希望給与額を設定

カリフォルニア州立大学イーストベイ校の心理学教授で、多様性を専門とするネギン・トゥーシは、オッタのデータは「気の滅入るものだが、意外ではない」とメールで述べた。

「要するに、私たちの社会でステータスが高いのは誰か、仕事がより評価されるのは誰か、昇給を願い出ても反発を受けないのは誰かということだ。女性や有色人種が生まれつきそうした能力だというわけではない。彼らがどう扱われているかが問題なのだ」

希望最低給与額について、トゥーシはこう語る。

「私の考えでは、ほとんどの人が提示する額は、過去に公正な給与額を求めて交渉した際の経験を反映したものだ。過去の交渉で不利な立場に立たされ、欲張りだとか、身のほど知らずだとか、自己主張しすぎだと言われた経験がある人は、低めの額を提示する。一方、給与体系が透明な組織で、公正な給与を受け取ってきた人は、自らのスキルをより高く評価する傾向がある」

実際、これまでの調査でも示されてきたように、女性は、給与交渉であまりに積極的な姿勢を見せると、反感を買う可能性がある。男性の場合は、強気な姿勢で昇給を求めても容認されるが、女性の場合は、女性らしくないと受け止められてしまうのだ。

さらに有色人種は、ステレオタイプのせいで、より強い反感を買う可能性がある。トゥーシはこう説明する。

「黒人女性は、『生意気』な感じで自己主張することは許容される。しかし、昇進やキャリアアップに関して自己主張すると、途端に抑え込まれてしまう。同様にアジア系女性も、許容される行動と、こうあるべきという行動に関して、相互に矛盾するステレオタイプが存在する。強気であってもいいが、従順であれというわけだ。しかし、根本的な問題はステータスだ。ステータスが低いとみなされる集団の人間が上を目指そうとすると、反発に出会うのだ」

そして人は、反感を買っているとわかれば、それにもとづいて自分の期待を修正する。

仕事を探すときは、自分が働く分野で支払われている一般的な給与額を調べるよう、トゥーシは勧めている。そして「現実的でありつつも野心的な」給与額を提示すると同時に、応募先企業に対して熱意を伝えるべきだと述べる。

とはいえ、不利な扱いを受ける可能性がある側だけに責任があるわけではない。企業側も、敬意と誠意をもって求職者や従業員に接し、組織内の給与格差が存在しないか注意しなくてはならない。

オッタのフランクリンは、企業側はこうした給与格差をできる限り改善するよう努め、求人情報で給与範囲を示すべきだと述べている。

forbes.com 原文

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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