11カ月間にわたり続くウクライナ侵攻では、ロシア側の戦果が乏しく、膨大な数の死傷者を出していることは確かだ。しかし、だからといってロシアが間もなく軍撤退を命じる見込みはない。
ロシア軍はさらに人員を徴集し、古い戦車を修理し、そして無期限に戦い続けることが、あらゆる面から示されている。そして、それを止められる者は、ロシアにはいない。
エストニアの情報機関は報告書で「ロシアがこれまで和平交渉に誠実な関心を示さなかったことから、ロシアとウクライナの戦争は2023年も続くだろう。和平交渉はロシアの戦略的目標の達成を保証しないからだ」と言明。「ロシアはウクライナでの戦争で、時間が自分たちに味方してくれると信じている」とした。
エストニアの情報機関はまた、「動員されたロシアの予備人員は現在、訓練を受けている。失われた軍事装備は、動員用施設に保管されていた武器で置き換えられている。同時に、ロシア軍はウクライナの重要な民間インフラを計画的に破壊し、ウクライナ人の防衛の意志を砕くことを狙っている」とも指摘している。
ウクライナがこれに屈するか否かは、過去の戦争の歴史から推測できる。都市が爆撃されても、そこに住む人々の意志が砕かれることはほとんどない。むしろ、都市への無差別集中攻撃は、市民の士気を高める。市民の抵抗の意志は強まるばかりだ。
このため、ウクライナが降伏する可能性はロシア以上に低い。ということは、どちらかが決定的な軍事行動を起こさない限り、戦争はおそらく延々と続く。ノルウェーの情報機関は「ウクライナを支配するというロシアの野望に変わりはない」と指摘した。
11カ月間にわたるウクライナ侵攻では、最大27万人のロシア兵が死傷したとみられる。ウクライナ軍がこれまでに破壊または奪取したロシア軍の戦車や戦闘車両、大砲、トラックは、計9000台に上る。その数は、大半の国の軍隊が保有する重装備品の数よりも多い。
こうした損失により、ロシア軍は戦闘力が低下しているが、機能不全には陥っていない。ロシアでは健康な徴兵適齢の男性の数は多くないが、政府は代わりに、優秀な兵士とはならないような中年男性たちを徴集して満足しているようだ。