ホワイトハウスのカリーヌ・ジャン=ピエール報道官は13日の記者会見で、これらの直近に撃墜された飛行物体について「異星人や地球外生命体が関与した兆候はない」と明言し「私個人はETの映画が好きだったが、それとは関係ない」と冗談交じりに言った。
ジャン=ピエール報道官の発言は、米国北方軍を指揮するグレン・バンハーク空軍大将が12日の会見で、異星人の関与の可能性を排除せず「情報機関や防諜機関に任せる」と発言したのを受けてのものだ。米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー報道官も13日に「米国民はこれらの飛行物体に関してエイリアンの心配をする必要はない」と断言した。
今回の気球を取り巻く騒動は、1月28日にアラスカ上空で発見された中国のスパイ気球とされる物体を、2月4日に米軍がサウスカロライナ州沖で撃墜したことで始まった。
米軍の戦闘機は10日にアラスカで、11日にカナダで、12日にミシガン州のヒューロン湖上空で飛行物体を撃墜した。これらの直近の3つの物体の用途は不明だが、カービー報道官は13日に、軍は装置から「通信信号」を検出しなかったと語った。しかし、チャック・シューマー上院議員は、少なくともこれらのうちの2つを、情報当局はスパイ気球と考えていると語っている。
直近の3つの物体は中国のスパイ気球よりもはるかに低い高度を飛行しており「民間の商業航空交通に脅威を与えていた」とカービー報道官は述べた。また、これらの物体の責任者がまだ不明であり、ヒューロン湖上空の「八角形の物体」が高度約2万フィート(約6000メートル)で、アラスカとカナダ上空の物体が約4万フィートで撃墜されたと述べた。これに対し、最初に発見されたスパイ気球は、商業航空交通の空域よりもかなり上の高度約6万フィートで撃墜されていた。
カービー報道官は、気球が中国政府に与える能力が「限られた付加的なもの」としているが「仮に、中国がこの技術を進歩させ続ければ、もっと重要なものになるかもしれない」と警告した。
直近の3つの物体が正確に何であったかは不明だが、軍は十分な注意を払って行動したとカービー報道官は述べ、これらの物体が地上の人々に「いかなる動的な脅威」も与えず、操縦能力や推進力を持たないものだったと指摘した。
ホワイトハウスは、直近の3つの物体が監視目的で使用された可能性を排除していないが、それを示唆する証拠を今のところ入手していないと報道官は述べ、13日時点では追加の空中物体は検出されていないと付け加えた。
ロイターは13日、ブリンケン米国務長官が、今週末のミュンヘン安全保障会議で、中国政府の王毅外相と会談することを検討していると、匿名の関係者の話として報じた。中国政府は、米軍による気球の撃墜を「無差別な武力行使」と批判し、気球が民間の気象調査用のものだったという主張を続けている。
(forbes.com 原文)