評価の理由を尋ねると、もっとも高い5の評価を与えた人は、金融緩和により市場にお金が回りデフレが収束、経済が活発化し株価が順調に上昇したことで、「末端の弱小投資家から並みの投資家」になれたと評価しています。また、コロナショックから回復させた手腕は高く評価すべき、「黒田総裁の胆力はすごい。名総裁だ。多くの投資家が稼がせてもらった」との声もありました。
4を付けた人の中には、経営者はこの長期金融緩和を活用してもっと投資するべきだったのであり、今の状況は黒田氏のせいではないと擁護する意見が聞かれました。また、「デフレマインドは日本の質素倹約の国民性とマッチ」していて、デフレ脱却は難しいとの意見もありました。4の評価は23.8パーセントと2番目に多かったのですが、黒田氏の功績を称えるというよりは、労を労っての評価のようです。
3を付けた人たちの意見は、やや厳しいものになります。黒田バズーカは初期には有効だったが、2パーセントのインフレ目標に固執し異次元の金融緩和を続けすぎた、日銀の大量の国債買いは異常、マーケットとの対話の点では不満、との批判が見られます。
2を付けた人の意見は、世界と日本の変化に目を背け、かたくなに金融緩和を続け、日本経済にデフレを植えつけた、政府に忖度しすぎて日銀の独立性を放棄した、大規模金融緩和で増大したフローの行き先を明確にして物価上昇が起きなかった原因を洗い出すべきだった、などと辛辣です。
最低評価の1を付けた人は、アベノミクスで株価は上がったが、日銀の仕事は株価を上げることではなく物価を安定させることだと指摘しています。円安誘導で輸出企業の業績に貢献したが家計には貢献していない、日銀のバランスシートを「管理統制不能の規模に拡大」させた、もっと早く手を打つべきだったのに「どうにもならなくなってから次の総裁に最悪の状態で引き継ぐのは無責任」と手厳しく非難しています。
これらの意見から推測するに、株で儲けた投資家は高評価、日本経済を心配する人は低評価ということのようです。いずれにせよ、4月の総裁交代を機に、アベノミクスの総括をキッチリ行ってほしいところです。
日経CNBCでは、2月19日までこの調査に関する放送を無料公開しています。日経CNBC解説委員長の直居敦氏による解説も聞くことができます。
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