同社のパートナーのチェタン・プッタグンタによると、同社にピッチをしにくるスタートアップの大半が機械学習に取り組んでいるものの、競合と差別化できているケースはごく稀だという。
その中でも数少ない例外の1つが、サンフランシスコのベイエリアに本拠を置く「MindsDB」だ。同社は、AIの専門知識を持たない開発者のAIアプリケーションの構築を支援しており、2月7日、ベンチマークが主導したシリーズAラウンドで1650万ドル(約22億円)を調達し、プッタグンタが取締役に就任したことを発表した。MindsDBの評価額は5600万ドル(約74億円)に達したという。
MindsDBの共同創業者でCEOのホルヘ・トーレスは、AIがビジネスを変革するときがついに到来したと考えている。「メールからCRMまで、アプリケーションはAI機能を中核に据えたものに生まれ変わるだろう」と彼は話す。
従来の企業は機械学習アプリケーションとデータベース上のビジネスデータを、データチームが長い時間をかけて接続していた。これに対し、MindsDBはAI機能をデータベースに直接組み込むことで、開発者が自分の手で作業を行えるようする。トーレスは、オーストラリア国立大学時代からの友人で、現在は同社のCOOを務めるアダム・キャリガンと、2017年に同社を立ち上げた。
2人は当初、MindsDBをオープンソースのプロジェクトとして構築し、2020年後半に有料サービスの提供を開始した。同社は、2021年にフォーブスの年次リスト「AI50(注目すべきAI企業トップ50)」に選出された。
MindsDBの有料サービスを利用している企業は20社ほどで、キャリガンによると、年商はまだ100万ドル(約1億3000万円)に達していないという。しかし、GPT-3のように誰でも簡単に試せるAIモデルが市場に溢れるようになった今、プッタグンタは、MindsDBがその追い風に乗る絶好の位置にいると考えている。