プログラムの問題点
ロシアがウクライナに対して残忍な侵略戦争を行っていることは周知の事実だ。確かにモスクワあるいはロシアの領土に爆弾は落ちていないが、クリミアには落ちている。信じられないことに、このプログラムは投資家にクリミアでも投資を呼びかけている。最近出版されたプーチンに関するまともな本のほとんどは、プーチンの支配は独裁的で、ロシアの社会には法の支配がまったくないと書いている。実際、西側諸国ではロシアの戦争はルールに基づく国際秩序に対する重大な攻撃と見なされている。カナダのジャーナリストで作家のダイアン・フランシスは、反腐敗活動家レイモンド・ベイカーの著書『Invisible Trillions』の書評で、ロシアを「世界の安全保障にとって脅威となっている巨大な泥棒政治と軍事独裁の国」と表現している。また「ロシアの独裁体制はプーチンらが国内の企業や資源を盗んだ後に築かれたものだ。彼らは教会などの組織を腐敗させ、不正に蓄えた財を国外に隠した」とも指摘した。このようなロシアについての描写は、歴史家のティモシー・スナイダーやアン・アップルバウム、政治指導者のガルリ・カスパロフやアレクセイ・ナワリヌイ、投資家のビル・ブラウダー、ジャーナリストのマーシャ・ゲッセンらが書いたものなど、以前挙げた他の書籍に含まれている多くの同様の描写と一致している。
真剣な選択肢ではない
ロシアはインドや中国、そしてアフリカや中東の国々が米国や北大西洋条約機構(NATO)などの制裁を無視すると考えている。ロシアが、欧米のボイコットに参加しない国から不法に金を強奪した個人の資金を洗浄するための一種の金融売春宿として機能する程度には成功するかもしれない。しかし前述の理由から、そのような社会で自分の資金をリスクにさらすことを真剣に考えるまともな投資家はほとんどいないだろう。(forbes.com 原文)