筆者は、横浜ベイスターズでもプレーした元大リーガーのパット氏を父に持つ、チーフスのQB、パトリック・マホームズのプレーを楽しみに観戦した。2020年に北米スポーツ史上最高額となる10年総額5億300万ドル(約700億円)で契約延長して話題となったスーパースターだ。
その話はさておき、米統計データサービスの「Statista」によると、FOXテレビが中継した今大会のCM30秒枠の平均広告料は、史上最高額の700万ドル(約9億2000万円)だという。
NBCユニバーサルが放送した昨年は650万ドル(約8億5000ドル)だった。FOXテレビが前回放映権を持った2020年の大会では560万ドル(約7億3400ドル)で、4年間で25%も値上がりしている。
ちなみにCBSとNBCの2局放送だったスーパーボウル初年度の1967年には、CBSの30秒枠CM料は3万7500ドル(490万円)で、NBCは4万5500ドル(590万円)。隔世の感がある。
30秒に700万ドルを投資して、果たして採算が取れるのか?
広告主でなくとも持つ、この疑問を研究したのは、ミネソタ大学マーケティング学科のリンリ・シュー助教授。今年1月に「スーパーボウルのCM効果は、口コミとオンラインの拡散を含め、試合当日68%上昇し、試合から1週間では22%上昇し、試合から1カ月で16%上昇する」との論文を発表した。
昨年大会のTVとストリーミングの視聴者数は1億1230万人。さらに調査対象をバー等自宅以外での視聴などにまで広げたNFLとニールセンの共同調査では、アメリカの人口の約3分の2に当たる、推定2億800万人以上が視聴したとされている。
この「お化けイベント」での絶大なPR効果を期待する広告主は後を立たず、40年ぶりに消費者物価指数が前年同月比9%を突破した昨年6月以来、ここ数カ月は鈍化しているとはいえ、米国のインフレが進む中、スーパーボウルのCM市場はバブル期に突入している。
FOXによると、昨年9月の時点で95%の枠が埋まっていたそうだ。
大会中はもちろん、大会後にもYouTubeで再生回数を重ねるCMは、そのほぼ全てが大会向けに新たに制作され、有名人を起用したり、アイデアに凝った秀作が多い。