肉体的変化や故障などで、パフォーマンスは年々低下する傾向が強く、球団もリスクを追うからだ。
「相思相愛」の再契約
だがダルビッシュは、2015年にトミー・ジョン手術を受けたが、その後、大きな故障歴はなく、昨年も「自己最多16勝」を挙げ、衰えはみえない。一昨年パ軍にトレード移籍してからの2年間、彼のトレーニング状態をモニターしてきたプレラーGMは、1月に自主トレのブルペン投球も視察し、6年契約をオファー。
会見で「本物のアーチスト。野球への取り組み方や才能、リーダーの資質、ファン人気などにおいても長くチームにいて欲しい選手で、将来もエースとして、トップクラスのパフォーマンスをみせてくれると信じている」と語り、「スカウティングの参謀となってくれている」とプラスアルファの功績も明かした。
契約は今季終了まで残っていたが、温暖で安全なサンディエゴの住環境に馴染む家族を最優先とするダルビッシュと、彼に絶大な信頼を寄せる球団は「相思相愛」の関係で、FAを待たず、前倒しの再契約に至ったのだ。
年俸は、今季は契約ボーナスの600万ドルを含めて3000万ドル(約39億円)だが、平均すると1800万ドル。球団にも優しい契約内容だ。
下降線どころか、むしろ投球術の向上で円熟味と安定感が増したダルビッシュだからこそ実現した「超レアな長期契約」であり、パドレスは「お手頃価格」で先発の柱を将来的に確保したと言える。
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