イノベーションのジレンマ
歴史を振り返れば、グーグルは2004年の230億ドルのIPOから2カ月に、時価総額でYahoo(ヤフー)を抜いていた。同社の躍進とヤフーの衰退のエピソードは、大企業が既存の製品を優先することによって、市場での優位性を失うという理論の「イノベーションのジレンマ」の典型例とされている。それから20年近く経った今、グーグルは同様のシナリオに直面しているようだが、ピチャイCEOは、この考えを否定している。「私は、この状況が物事を再び考え、想像し、検索に活かすためのチャンスだと考えている。我々は大胆にプロダクトを提示し、フィードバックを得て反復し、より良くしていく」と彼は、先日の決算発表後の電話会談で述べていた。
グーグルの親会社のアルファベットは、7日にChatGPTに対抗するAIチャットボット「Bard」を発表し、株価を5%近く上昇させたが、その翌日にBardが不正確な回答を生成したと報じられたのを受けて、株価を8%急落させ、1000億ドルもの時価総額を失った。
しかし、誰もまだ、グーグルを完全に見捨てた訳ではないだろう。ためしに、Bard のライバルであるChatGPTに「グーグルはなぜ、AI開発で遅れをとったのか」と聞いてみると、下記のような答えだった。
「グーグルはAI開発で遅れをとっていません。今でもこの分野のリーディングカンパニーであり、AIの研究開発に投資し、多大な貢献をし続けています。近年、OpenAIなどの他社やBaidu(バイドゥ)、Tencent(テンセント)、Alibaba(アリババ)などの中国のテック企業がAI分野の強力なプレイヤーとして台頭してきましたが、グーグルは依然としてこの分野の著名なプレイヤーであり、リーダーです」
しかし、ChatGPTは2021年までのデータでしか学習をしていないのだ。このボットは、自身のライバルが現れたことすら、まだ知らないのだ。
(forbes.com 原文)