トルコ当局は9日、6日に発生したこの地震の死者が1万6546人に増え、負傷者も6万6100人以上に達していると発表した。
シリア国営メディアによると、シリア保健省は9日、北部の政府支配地域の死者が1347人に増え、負傷者も2200人あまりにのぼっていると明らかにした。
市民組織のシリア民間防衛隊(ホワイトヘルメッツ)によると、北西部の反体制派支配地域の死者も1930人に増えた。10年以上にわたる内戦のために、一帯の住民は被災前から人道支援に頼る生活を余儀なくされていた。負傷者も3000人近く報告されているという。
トルコとシリアを合わせた死者数は2022年の東日本大震災の死者(1万5900人)と行方不明者(2523人)の合計を上回った。
死者数はさらに膨らむおそれがある。トルコ当局によると国内で約2万6000人が動員され、倒壊した建物などに閉じ込められた生存者の捜索・救助活動にあたっている。
また、これまでに米国や韓国、中国など十数カ国や欧州連合(EU)がトルコに救助隊を派遣したり、人道支援物資を送ったりしている。
シリアでは、もともと住民が「非常に脆弱な立場」(国連のエルモスタファ・ベンラムリ常駐調整官)に置かれていたところに今回の地震被害が加わったため、救助活動は難航しているもようだ。シリアでは人道支援を必要としている人が政府支配地域と反体制派支配地域を合わせ約1530万人にのぼるという。
トルコのエルドアン大統領は今回の地震について、「トルコが過去100年に見舞われたものとしては1939年のエルジンジャン地震以来最大の災害」と述べている。
一方、トルコの最大野党、共和人民党のケマル・クルチダルオール党首は、エルドアンによる「組織的な利益誘導政治」を批判し、甚大な被害をもたらした責任はエルドアンにあると断じた。
トルコでは8日にツイッターへのアクセスが遮断されたが、9日朝に復旧した。遮断前には「当局の初動が遅い」「過去の政策で被害が拡大した」といった政府批判の声が投稿されていた。
トルコの警察当局は、ソーシャルメディアで地震に関する「挑発的な投稿」をしたとして8日に5人を逮捕している。また、「誤った情報」を広めたとしてジャーナリストらも当局の標的にされている。
(forbes.com 原文)