先週、オーストラリア西海岸のパースに行った時に、面白そうだと思って、コナNを借りてみた。このクルマは日本に入ってきていないので、ほとんどの読者は知らないと思う。映画界でも、ヒョンデの小型ターボ車はイマイチ知られていない。例えば2006年公開の映画『ワイルド・スピード/東京ドリフト』で、俳優ソン・ガンが演じるハンが主人公に向かって、「何考えてんだ? お前をヒョンデに乗せるかよ!」と言ってる。この当時の韓国車は日本の高性能車にまったく及ばなかったからだ。
17年前、この映画シリーズで高性能車と言えば、アメリカ車、欧州車、日本車だった。このとんでもないスポーツSUV「ヒョンデ コナN」は存在していなかったので、ストーリー中で「ヒョンデなんか」と言われるのも無理はなかった。276馬力の2.0リッター・ターボを搭載し、タイプRと同等の加速で、「N Grin Shift」ボタンなどの技術を誇るコナNは、次のワイルド・スピードにふさわしいと言い切れる。
残念なのは、日本に上陸していないことだ。現在、日本にされているヒョンデ車は、電気自動車の「アイオニック5」と燃料電池車の「ネッソ」の2車種のみ。
さて、このクルマはいったいどんなクルマなのか? シビックとシビック・タイプRの序列関係があるように、ヒョンデは、ベースモデルのコナを完全にパワーアップさせて、コナNと呼んだ。約24000ドル(約310万円)で買えるベースのコナが147馬力の自然吸気2.0リッターエンジン。対して、改造されて36000ドル(約470m万円)のコナNは「ヴェロスターN」と同じホットなターボ・エンジンを継承している。
そのおかげで、パワーはベース車の約2倍だし、特別のサスペンション設定、強力なグリップを誇る19インチのピレリP-Zeroタイヤ、調整可能ダンパー、音を変えられるアクティブ・エグゾースト、8速デュアル・クラッチ・トランスミッション、スペシャル・エアロキットや「N」バッジを採用して、全く別物に生まれ変わっている。