宇宙

2023.02.13 14:00

2023年がハレー彗星にとって特別な年である理由

1968年3月に欧州宇宙機関(ESA)の探査機ジオットが撮影したハレー彗星の核(ESA/MPAE, 1986, 1996)

1968年3月に欧州宇宙機関(ESA)の探査機ジオットが撮影したハレー彗星の核(ESA/MPAE, 1986, 1996)

緑の彗星」はもう見ただろうか? もしまだなら、今週が月の出ていない暗い北半球の夜空でZTF彗星(C/2022 E3)を見る最後のチャンスだ(ただし双眼鏡が必要!)
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さて、ZTF彗星はあと約5万5000年は帰ってくることはなく、長周期彗星と呼ばれている。

「緑の彗星」の正式名称を覚えるのに苦労しているのはあなただけではない。彗星は、最初に発見されたときに登録され、通常はそれを見つけた望遠鏡や天文台の名前がつけられることが多い。しかし、圧倒的によく知られている彗星が1つあり、2023年はその彗星にとって特別な年だ。

ハレー彗星(正式名称は1P/Halley)は怪物だ。ピーナツ型の核は15×8kmほどの大きさで、氷とガスとちりからなるこのボールが太陽系で最後に見られたのは1986年。2061年に再び地球の比較的近くを通過し、夜空の最も明るい星と同じくらいの明るさで輝くと予測されている。肉眼で容易に見ることのできるこの彗星は、ぼんやりとした「緑の彗星」を圧倒することだろう。
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オーストラリア、アウトバックのウルル上空のハレー彗星、1986年(Getty Images)

75年周期の1P/Halleyは短周期彗星に分類されるが、同時に特別な存在である。1人の人間が人生で2度、見ることが可能な唯一の彗星だからだ。観測記録は西暦467年まで遡るが、同じ彗星が再来していることを最初に発見した人物は、英国の天文学者エドモンド・ハレーだった。1705年、彼はその彗星が1758年に戻ってくることを計算で明らかにした。彼は正しかったが、その前に亡くなっていた。

2023年は、ハレー彗星が太陽から最も遠い位置である遠日点に到達し、周回して地球に戻る帰路につく年だ。現在、南半球の星座、うみへび座の中にいるハレー彗星は、2023年12月に35.1天文単位(海王星の軌道より遠く、冥王星に近い)の距離で遠日点に達する。

そのおよそ37年後、次の世代の彗星ウォッチャーたちを熱狂させることだろう。

ハレー彗星が戻るまでそんなに長く待てない人には、その壮大さを瞬間的に垣間見る間接的な方法がある。

毎年4、5月と10月に、地球は1986年にハレー彗星が内太陽系に残した粒子の流れの中を通過する。


中国大慶市を流れる松花江から見たオリオン座流星群、2020年10月22日(Getty Images)

みずがめ座η(イータ)流星群は、2023年4月19日から5月28日頃まで現れ、5月5、6日にピークを迎える。流星群が生み出す「流れ星」は北半球からは毎時10~30個、南半球からは最大60個見ることができる。残念ながら、今年の流星群のピークは満月に当たるため、ハレー彗星のかけらが地球の大気に衝突する様子を見るのは難しい。

嬉しいことに、2023年10月2日から11月7日のオリオン座流星群でもう一度チャンスが訪れる。ピークは10月20、21日で、深夜0時過ぎに毎時約20個の「流れ星」が見られるだろう。ショウが始まる真夜中までに、月は沈んでいる。

澄み切った空と大きな瞳に願いを込めて。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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