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2023.04.13 10:00

「社会を動かす10の方程式」を成功者はどう使っているか

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一つひとつの出来事に落胆するな

さあ、あとは計算だ。その計算を図示したものが次頁の図2だ。計算方法は飛行機の墜落の例とまったく同じだが、数値が違っている。

つまり、レイチェルが性悪女である確率は5分の1くらいしかない。彼女を許すべきだと言ったのは、そういうわけなのだ。彼女がいい人である確率は5分の4もある。今回のたった1回の行為で彼女の人間性を判断するのは完全に不公平だというのがわかる。トイレのなかで聞いたレイチェルの発言を蒸し返すべきではないし、その発言によってレイチェルへの接し方を変えるべきでもない。明日、また様子を見るべきなのだ。年度末を迎えるころには、トイレの個室での事件について、ふたりで大笑いしている可能性は80%もあるのだから。
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もうひとつ、トイレの扉の後ろで息を殺していたエイミーに対して、アドバイスがある。確かに、トイレで自分の悪口を聞いた日の朝、彼女にも抜かりがあったのかもしれない。ふたりで勉強しているとき、もう少しきちんと集中したほうがよかったかもしれないし、正直な話、昼食後に長々とトイレに座って携帯電話をいじっていたのがいけなかったのかもしれない。でも、ベイズは罪を許すということを忘れないでほしい。レイチェルだけでなくエイミー自身に対しても、同じ原則が成り立つのだ。ベイズの定理はこう教えてくれる。自己評価は少しずつ見直していけばいい。一つひとつの出来事にそう落胆する必要なんてない、と。

あなたという人間は、ひとつやふたつの失敗ではなく、あなたのすべての行動でできている。ベイズはほかの人々を許しなさいと言っている。その合理的な許しを、あなた自身にも与えてみてはどうだろう。

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