しかし、中国の投資家は臆することなく、この分野のテクノロジー企業に投資している。上海市場に上場する「奇虎360(Qihoo 360)」として知られるサイバーセキュリティ企業「三六零安全科技(360 Security Technology)」は、今週初めにChatGPTスタイルのボットへの取り組みを発表し、それ以降、株価は連日10%のストップ高を記録している。
グーグルの失態の余波
その一方で、海外の投資家は早くも初期の熱狂から冷め始めたようた。香港市場に上場するバイドゥの株価は7日のアーニーボットの発表を受けて一時14%も急騰したが、8日には約4%下落した。同社の株価の下落は、Google(グーグル)の失態も一因かもしれない。グーグルが6日に発表したATチャットボット「Bard」は、その能力を披露することを目的としたデモで不正確な情報を共有していたことが、8日に報じられた。これを受け、親会社のAlphabet(アルファベット)の株価は一時8%の急落となり、1000億ドル(約13兆1500億円)におよぶ時価総額が吹き飛んだ。この件は、チャットボットのテクノロジーを実世界で活用することの難しさを浮き彫りにしたものと言える。
そして、この分野の中国企業の少なくとも1社は、前途に待ち受ける課題を認識しているようだ。三六零安全科技は、投資家からの問い合わせに対し、同社のテクノロジーがChatGPTと比較した場合に「大きなギャップ」があると認めている。同社のボットは今のところ、社内ツールとしての用途にとどまっている。
三六零安全科技は、証券取引所への提出書類でも、自社のテクノロジーが「ChatGPTよりも1世代遅れており、実際の使用には大きな不確実性がある」と強調している。
(forbes.com 原文)