この方法は、伝統医学アーユルヴェーダの一環として、3000年以上前に古代インドで編み出されたとされている。アーユルヴェーダでは、自然療法により「体、精神、魂のバランス」を生み出すことが推奨されている。この手法に関して行われた研究は、まだあまり多くない。
2017年の研究によれば、オイルプリングには、微生物の細胞壁を壊す抗酸化物質を生成し、ひいては微生物を殺す効果があるという。これにより、細菌のかたまりであるプラーク(歯垢)が除去される。プラークは口臭、歯肉炎、虫歯、歯腔から生じる歯周病の原因になる。
別の研究では、16~18歳の青少年60人が、30日間オイルプリングを実践した。試験が終わった時点で、プラークと歯茎の細菌が50%減少していたことから、オイルプリングにはプラーク起因の歯肉炎やプラークの形成を抑える効果があると結論づけられている。
だが、総合歯科学会(Academy of General Dentistry)の広報担当者に、オイルプリングが実際に虫歯を改善したり歯を白くしたりするのか否かについて取材したところ、いかなる種類の液体で口をすすいでも、歯磨きとフロスによるケアをしなければ、口腔ケアとしての効果はあまりないと述べた。
一方、米国歯科医師会(American Dental Association)の広報担当者マット・メッシーナはフォーブスに対し、オイルプリングが危険と見なされるのは、実際にはない効果をオイルプリングに期待して、本当に効果があるとわかっている推奨ケアをしない場合に限られると語った。
オイルプリングが発明されたのは、歯磨きが広く行われるようになる前のことだ。古代ローマでも、オリーブ油でオイルプリングが行われていた。
古代の人々は、世界中でさまざまな歯の手入れ方法を発達させていた。米国歯科医師会のメッシーナによれば、たとえば古代ローマ人は、ハチミツとすりつぶした卵の殻で歯磨き粉をつくっていたという。
また、スミソニアン・マガジンによれば、古代ローマ人は、尿中のアンモニアがステイン(着色汚れ)を除去してくれると期待し、歯を白くする薬として尿を使っていたという。
4世紀エジプトの歯磨き粉の製法では、塩や胡椒、ミント、アヤメのドライフラワーが使われていた。2003年にこの製法で歯磨き粉をつくった歯科医師のハインツ・ノイマン(Heinz Neuman)は、歯茎から出血したものの「口がすっきりときれいになった」とテレグラフに語っている。
その後、第二次世界大戦中に、歯磨き粉は大きく改良された。
米国議会図書館によれば、エジプトなどの古代文明では、歯ブラシのようなものも使われていたという。これは「歯木(しもく)」と呼ばれるもので、要は、先端をほぐした細い枝だ。古代エジプトでは、宝物とともに歯木が墓に納められることも珍しくなかった。
毛を使った最初の歯ブラシは、1400年代に中国で発明されたと考えられている。この歯ブラシでは、ブタの毛が毛材として、竹や骨が柄として使われていた。
米国歯科医師会のメッシーナは、自分自身は、科学的研究によって効果が証明されている手法を推奨したいと述べている。
(forbes.com 原文)