中国に対する制裁のほとんどは、2018年のトランプ政権時代に始まった。中国通信機器大手のHuawei(ファーウェイ)が中国政府のスパイ活動を支援しているとの疑いから、トランプ大統領は米国政府機関に対して同社のあらゆるシステム、機器、サービスの使用を禁止した。
2020年7月、複数の中国政府当局者が、新疆ウイグル自治区において米国の「2020年ウイグル人権政策法」に基づく「重大な人権侵害」を犯したとして制裁を課され、指名された当局者およびその家族が米国への入国を禁止された。
1カ月後、米国は香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官をはじめとする香港当局者10名に対し「香港の自治を弱体化させ、香港市民の表現と集会の自由を制約している」として制裁を加え、同年12月には中国の全国人民代表大会の常務委員会副委員長14名を同じ理由で制裁した。
2020年11月、トランプ前大統領は米国の基幹および一般投資家に対し、国防省が「中国共産党軍事企業」であると認めた企業への投資を禁止する大統領令に署名した。
2022年のロシアによるウクライナ侵攻開始後、中国の複数企業に対して制裁が課された。9月に深圳のSinno Electronicsがロシア軍にネットワークを供給したとして、直近ではSpacety Chinaがワグネル傭兵部隊に衛星画像を提供したとして、それぞれ制裁を受けた。
2022年10月にバイデン政権は、中国のハイテク部門の成長を鈍化するために、中国への新たな半導体の販売を制限する方針を発表し、現在、米国の全サプライヤーからのファーウェイへの供給停止を検討している。
2022年12月には、中国の国民2名および関連する10団体に対して、米国が違法・無報告・無規制(IUU)漁業と呼ぶ行為に関連する人権侵害について制裁を課した。
米国は、イラン当局が昨年、道徳警察に拘束された22歳女性が死亡したことに対して巻起こった抗議運動を鎮静化するために、中国企業の技術を使っていることを受け、中国の複数の監視会社に対する追加制裁を検討している。
米中間の緊張は、トランプ政権が中国に対して強固な経済姿勢を取り、2018年に貿易戦争を開始したときから悪化し始めた。バイデン政権下でも緊張を落ち着かせる努力がなされことはなく、バイデン大統領は中国ハイテク産業の成長を停滞させようとしている。中国は米国のロシアに対する制裁にも反抗しており、ロシア軍への技術供与を継続しているとウォール・ストリート・ジャーナルは伝えている。
中国に制裁を課しているのは米国だけではない。2021年、欧州連合(EU)は全世界における人権侵害に責任のある中国の個人11名および4団体に対して制裁を加えると発表した。EUが中国(第2位の貿易相手国)に対して制裁を課したのはこれが2度目であり、1度目は1989年の天安門事件の後、EUは中国に対する武器禁輸を決議し、現在も存続している。
(forbes.com 原文)