香港の日刊英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは2017年、中国科学院光電研究院が成層圏の気球から2機のドローンを発射したと報じた。電磁発射装置から「コウモリサイズ」のドローン1機を高度2万5000メートル、もう1機を同9000メートルから時速100キロのスピードで発射した。ドローンは気球の下方を詳細に観察できるとされ、記事では捜索・救助への応用が言及されているものの、軍用の可能性があることは明らかだ。ただ、同研究院はこの研究に関して論文を発表しておらず、その詳細は不明だ。
米国側は、中国が今回の気球により衛星からは得られない機密情報を入手した可能性について、否定的な見方を示している。しかしバンハーク大将は記者会見で、「機密情報の収集を防ぐために最大限の注意を払った」とも述べている。もしこの気球に通常のスパイ衛星以上の能力がなかったのであれば、こうした措置は不要だったのではないだろうか。
米国は現在、墜落した気球の破片を回収し、その性能を解明しようと試みている。今後、気球がドローンなどの投下型センサーを搭載していて、そこから得られた情報を中国に送っていた可能性があることが判明するかもしれない。
中国の気球が何をしていたのか、どのような能力を持っていたのかはまだ分かっていない。だが、気球は単なる民間研究船であり、予定していた針路を外れただけという中国の主張は、現時点では真に受けられない。
(forbes.com 原文)