エンターテインメント大手のマーベル・スタジオと提携したハイネケンは、映画を通じてミレニアル世代とつながるマーベルの力に期待している。CMには、スーパーボウルの1週間後に封切りを迎える映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』のキャラクターを起用。1月9日に公開された第1弾ティーザー広告では、主演のポール・ラッドがノンアルコールビール「ハイネケン0.0」を宣伝した。
毎年1月を禁酒月間とする「ドライ・ジャニュアリー」の直後にノンアルコール飲料の拡大を図るハイネケンの動きは、大手ビール会社や蒸留酒メーカーの多くが、あえて酒を飲まないことを選択する「ソバーキュリアス」と呼ばれる人々の市場に活路を切り開こうと努力している様子を浮き彫りにした。ドライ・ジャニュアリーという言葉が世間に登場したのが英国で商標登録された2014年だったことを考えれば、現在の浸透ぶりは目を見張るものがある。米国では2022年にドライ・ジャニュアリーを実践してみると答えた成人が5人に1人に上ったとの調査結果があり、これは4000万人以上に相当する。こうした数字にアルコール業界は注目しているのだ。
ハイネケンUSAのジョニー・ケーヒル最高マーケティング責任者(CMO)は、「2017年に世界発売したハイネケン0.0は飛ぶように売れており、フランチャイズの中核をなしている」と語る。「ノンアルコールビールは長く脇に追いやられる存在だったが、われわれはそうは考えていない。ノンアルコール分野を発展させるため、ハイネケン0.0に年間5000万ドル(約66億円)以上を投資してきた。ビール市場で活気のなかった分野に象徴的なブランドを持ち込み、『ほどほど』こそクールだとのイメージ醸成に貢献した」