JPモルガンCEOのジェイミー・ダイモン(66)は昨年秋に暗号資産を「分散型のポンジスキーム」と呼んだが、彼の銀行は2020年以降に、ブロックチェーンを使用して5500億ドル(約72兆4000億円)の担保決済を行っていた。
世界最大の資産運用会社ブラックロックのラリー・フィンクCEOも、昨年11月のカンファレンスで「市場の次世代、証券の次世代はトークン化だ」と主張していた。Coinbase(コインべース)との提携で、ブラックロック顧客の一部は投資管理システム「アラジン」を使って、ビットコインへのエクスポージャーを管理できるようになった。同社はまた、2022年4月に米ドルに連動するステーブルコイン「USDC」の発行元のサークルに出資し、USDCの準備金として340億ドルの財務省証券を保有している。
中国の「デジタルシルクロード」
一方で、暗号資産とマイニングを禁止している中国においても、ブロックチェーンは習近平の国家戦略「ビジョン2035」で重要な位置を占めている。中国のブロックチェーンは、公開されていないが、複数のブロックチェーンをつなぎ、監視するネットワークのBSN(Blockchain-based Service Network)は「デジタルシルクロード」とも呼ばれている。フォーブスのブロックチェーン50にも選出された中国建設銀行は、2年前にSwiftを不要にするプラットフォームを構築したが、最近は、巨大な分散型台帳を立ち上げ、政府のプライバシー規制を遵守しながら、銀行同士が情報を共有できる仕組みを構築した。同社は、すでにブロックチェーンを用いて200万人の顧客に42億ドルの与信を提供しており、2025年半ばまでに7億人の顧客を獲得したいと述べている。
今年のブロックチェーン50には、中国建設銀行のほか、Tencent(テンセント)、WeBank、Alibaba(アリババ)のAnt Group(アントグループ)など、5社の中国企業が名を連ねている。
マスターカードのミーバックは、最近のクリプト業界の苦境が、新たな技術の採用を加速させると考えている。「より多くの大手企業が参入し、規制当局もリスクへの対処を進めていくはずだ」と彼は語った。
(forbes.com 原文)