一方、中国では、エネルギーシフトがインドより進んでいる。中国は、電力需要の56%を石炭に依存しているが、2060年までにネットゼロを目指すと公言している。
BNEFによれば、中国はいずれ、世界最大の風力発電・太陽光発電の市場になるという。現在の同国における風力発電・太陽光発電市場は、世界の燃料市場のうち8%を占めているが、価格低下と経済発展を受けて、この割合は2050年までに48%に拡大する見込みだ。BNEFによれば中国は、他の多くの国よりも再生可能エネルギーへの投資が多い。
習近平国家主席は2020年、国内の風力発電ならびに太陽光発電の総設備容量を、10年間で5億キロワットから12億キロワットに増やすという目標を掲げた。加えて、CO2排出量を2030年にピークアウトさせる考えも明らかにしている。
2015年のパリ協定では、世界平均気温の上昇幅を、産業革命前と比べて摂氏1.5度に抑える目標が掲げられた。地球の平均気温はすでに1.2度上昇しており、科学界からは、このままいけば2.7度上昇するという声があがっている(なお、パリ協定前までは、何もしなければ21世紀末には平均気温が4度上昇すると言われていた)。
だが、世界の年間CO2排出量の80%は、わずか20カ国が出している。排出量が世界の1%に満たない138カ国の運命は、この20カ国の手にゆだねられている。
インドのラージ・クマール・シン電力・再生可能エネルギー相はIRENAの会合で記者団に対し、インドは原則としてエネルギー転換に反対はしないが、そのための資金が必要だと主張。発展途上国はエネルギー転換を大きく推進するための資金と知識を欠いていると指摘し、その例として蓄電池のコストやグリーン水素の製造を挙げた。
(forbes.com 原文)