米国の研究チームが先ごろ「ロングコビッド(Long COVID)」と呼ばれる後遺症について行った観察研究の結果として、米国医師会雑誌(JAMA)のジャーナル、JAMAインターナル・メディシンに発表した。
研究チームは新型コロナの後遺症が何によって引き起こされるのか、症状をより重くするのは何なのかを明らかにするため、2015年と2017年に収集した3万2000人以上の女性たちの生活習慣に関するデータを分析した。
感染前から「健康的な生活」を送っていたことを示す評価基準として挙げたのは、上記の3項目に加え「健康的な体重を維持している、喫煙習慣がない、アルコール摂取量は適度である」こと。
調査対象とした女性のうち、2020年4月~2021年11月の間に1900人以上が新型コロナウイルス感染症にかかった。そして、感染した人たちの44%が、後遺症を報告していた。
研究チームによると、感染した人のうち「健康的な生活」を実現するための要素の5つ以上を実現していた人は、1つもしていなかった人と比べ、後遺症に悩まされる可能性が49%低くなっていた。
また、後遺症のリスク低減との関連性が最も強くみられたのは「健康的な体重」であること「十分な睡眠を取っていること」だった。
研究チームは、不健康な生活習慣が慢性炎症と免疫不全などのリスクを高めることを指摘。これらのリスクが高まった状態にあることが、後遺症が残ることにつながる可能性があるとの見方を示している。
「後遺症」とされるのは、新型コロナウイルスへの感染から4週間以上が経過しても続く症状。主に報告されているのは、発熱、倦怠感、呼吸器や消化器の問題、心臓の症状、神経症状など。米国ではおよそ800万~2300万人が、後遺症に苦しんでいるとされる。
過去の研究も「生活習慣」を指摘
後遺症と生活習慣との関連性については2022年12月にも「運動量を増やすことが、感染時の重症化・入院リスクと死亡リスクを低減させることにつながる可能性がある」との研究結果が米医学誌アメリカン・ジャーナル・オブ・プリベンティブ・メディシンに発表されている。また、ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・スポーツ・メディシンに昨年8月に掲載された論文でも「定期的に運動している人はそうでない人に比べ、感染するリスクが11%、重症化するリスクが44%低くなっていた」とする同様の結果が示されている。
後遺症は「大きな負担」
新たに発表された論文の最終著者、ハーバード公衆衛生大学院のアンドレア・ロバーツ博士(環境健康学科)は、新型コロナウイルスの流行が続くなか、後遺症は公衆衛生上の大きな負担になっていると指摘。今回の研究結果によって、より健康的な生活習慣が後遺症を防ぐことにつながる可能性が示されたと述べている。(forbes.com 原文)