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2023.02.10

豪州の鉄鋼石採掘王がつくる、グリーンな水素は未来を変えるのか

豪鉄鉱石採掘大手フォーテスキュー・メタルズ・グループ(FMG)の創業者アンドリュー・フォレスト Chet Strange / The Washington Post / Getty Images

化石燃料業界でも賛同する動きが出ている。今年6月、石油メジャーのBPがアジア再生可能エネルギーハブ(AREH)への40%の出資を発表。

AREHは300億ドルの事業で、西オーストラリアの6475平方キロメートルの土地を風力タービンと太陽光発電所で埋め尽くし、グリーン水素を製造する電解槽のためにオーストラリア全体の発電量の約3分の1に相当する26GWの発電能力を開発しようというものだ。

フォレストは、ハリケーンのごとき世界歴訪を続けている。今年5月にはバルセロナで開かれたグリーン水素世界集会では業界のプレイヤー連合に加わり、30年までに世界のグリーン水素生産量を現在の10万tから1億tに増やすという目標を掲げた。

集会でグリーン水素の国際基準が発表されたとき、フォレストの自信たっぷりな態度は誰の目にも明らかだった。

数百人の人々の前で、彼はスペインのテレサ・リベラ第3副首相兼環境移行大臣とともに、人気ミュージカル『ハミルトン』の楽曲「The Room Where It Happens(物事が決められる部屋)」で踊ったという。フォレストは6月にニューヨークで、そのときのことをこう語っている。

「祝うべきことがたくさんありました。だから踊ったのです」


フォーテスキュー・フューチャー・インダストリーズ◎2020年設立のオーストラリアのグリーンエネルギー会社。世界市場を視野に、ゼロエミッションのグリーン水素の生産および、グリーン水素を使用する車両の開発などに取り組む。鉄鉱石採掘大手フォーテスキュー・メタルズ・グループ(FMG)の傘下にあり、FMGの年間利益の10%を資金として受け取っている。

アンドリュー・フォレスト◎フォーテスキュー・フューチャー・インダストリーズ(FFI)およびフォーテスキュー・メタルズ・グループ(FMG)の創業者で取締役会長。オーストラリア西オーストラリア州初代州知事の子孫。株式仲買人を経て採掘業に参入。2011年にFMGのCEOを退いて以降は、慈善事業などに注力。1961年生まれ。

文=デビッド・ジーンズ 写真=ジャメル・トッピン 翻訳=木村理恵 編集=森 裕子

この記事は 「Forbes JAPAN No.101 2023年1月号(2022/11/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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