「昨年は、第2四半期以降にロックダウンが発生し、消費の妨げとなった。不動産市場の下落や失業率の上昇、ウイルスに対する不安も、消費者心理を弱めた」と、同社はプレスリリースで述べている。ベイン社は2022年の中国の個人向け高級品売上が前年比10%のマイナスになったと推定した。
「2023年の中国における消費のファンダメンタルズは維持されている」とベイン社は述べている。「他の新興国と比較すると、中国市場はラグジュアリー分野の成長にとって巨大な存在で、中・高所得の消費者の数が多く、このカテゴリの人口は2030年までに倍増すると予測される」と同社は指摘した。
LVMHやエルメス、ケリング、ティファニー、プラダといった世界のラグジュアリー大手の株価は、昨年第4四半期に中国のゼロコロナ政策が終了したことを受けて、消費が回復するとの期待から上昇した。
「高級品市場は、ショッピングモールに客足が戻り、消費者心理が回復するにつれて持ち直すだろう。2023年の前半から後半にかけて、売上は2021年のレベルに戻ると予想している」と、香港のベインのパートナーのウェイウェイ・シン(Weiwei Xing)は述べている。
しかし、楽観的な見方が多い一方で、リスクもあるとシンは指摘する。その1つが、海外に居住する中国の富裕層が増えていることで「高級ブランドは世界のあらゆる場所で優れたエクスペリエンスを提供しなければならない」とシンは指摘した。
また、ベイン社によると景気の減速は昨年、富裕層よりもエントリーレベルの高級品を好む消費者に影響を与えたという。2022年に大きな打撃を受けたセグメントのうち、時計市場は最も急落し、売上高は2021年から20~25%減少したという。また、ファッションとライフスタイルのカテゴリも15%~20%の減少だった。
一方、オンライン普及率の高い製品カテゴリーは、ロックダウンの影響を受けにくく、より良い業績を収めたとベインは分析した。例えば、オンライン普及率が50%の高級美容品カテゴリは6%の減少にとどまった。
上海に拠点を置くベインのシニアパートナーであるブルーノ・ラーンズは「ほとんどのブランドが2022年に売上を落とす中、一部のブランドは横ばい、もしくは成長を維持することに成功した」と述べた。その背景に彼は3つの要因を挙げている。
「第一に、大手ブランドは平均して中小企業より優れた業績を上げた。第二に広く知られるポートフォリオを持つブランドは、トレンドに左右されやすいアイテムを扱うブランドより優れた業績を上げた。最後に、重要な顧客が集中しているブランドがより優れた業績を上げた」とラーンズは分析した。
(forbes.com 原文)