アンダーソンは「デーティング・バイ・ブレーン(Dating By Blaine)」と題したサービスで、出会い系アプリでのプロフィールの作成方法などを指導する講座(1295ドル、約16万7000円)や、女性に送るテキストメッセージの書き方講座(149ドル、約1万9000円)などを提供している。
起業のきっかけは思いがけないものだったという。以前から交際や恋愛への興味が強く、男性の友人からたびたび交際に関するアドバイスを求められていた。友人のプロフィールを手直ししてあげると、良い結果につながることが多かった。
以前はニューヨークで旅行関係の仕事に就き、6大陸で15年にわたり恋愛経験を積んでいたが、恋愛指導をキャリアとすることなど考えたこともなかった。だが、新型コロナウイルスの流行により一夜にして職を失ったことで、状況は一変。実家に戻ったアンダーソンは、講座を開設しようと思い立った。「コースを基盤としたビジネスは拡大しやすい」
海外旅行業界の復活には時間がかかりそうだった。当時の恋人(後に結婚して夫となった)からは、「全力投球すべきだ。失うものは何もないんだから」と背中を押されたという。その後まもなく、最初の講座づくりに着手し、インスタグラムやティックトックで宣伝を始めた。
受講者の多くは、自分は金持ちでなければいけないとか、体を鍛え自信にあふれている「アルファメイル(群れのボスとなる雄)」として振る舞う必要があると考えているのだという。また、コンピューターに向き合う時間が長く社交スキルを身に付ける時間がないエンジニアなどの職業の人も多い。
アンダーソンによると、女性は「高い地位」の男性に引かれがちだが、「高い地位」の定義は人によって違う。「これから自分が進む方向を女性に示す必要がある。女性には、自分がこれから出世することをわからせる必要がある。失業中の場合、その理由と、交際中も失業が続かないと言える理由を伝える必要がある」
アンダーソンによると、最終的に必要なのは、自信を持つことと、自分の売り込み方を理解することだ。これは、相手の女性の好みに合わせた振る舞いをすることとは違う。
事業はすぐに軌道に乗り、年商は2020年の2万2000ドル(約280万円)強から、21年には約49万1000ドル(約6300万円)、22年は12月13日時点で約93万1000ドル(約1億2000万円)に達した。
アンダーソンは、特化型のサービスが成功につながったと考えており、今後も「ニッチな分野にとどまり、オーディエンスを深く理解したい」と語った。恋愛コーチは、女性を対象としている人の方が多い。女性は自ら助けを求めることをいとわないが、男性は女性ほどオープンではない」。アンダーソンは、そんな男性たちを一人ずつ変えていくことを目指している。
(Forbes.com 原文)