北米

2023.02.08 11:30

トランプ離れ進む米保守派、今度は富豪コークの政治団体が「決別」

チャールズ・コーク(中央、Photo by Patrick T. Fallon for The Washington Post via Getty Images)

チャールズ・コーク(中央、Photo by Patrick T. Fallon for The Washington Post via Getty Images)

米富豪のチャールズ・コークが支援する保守系政治団体「アメリカンズ・フォー・プロスペリティー(AFP)」が、米国は「現在の政治状況を乗り越え、過去数年間と決別する必要がある」と内部向けの文書で述べていることが明らかになった。2024年の米大統領選に向けた共和党の候補者選びで、ドナルド・トランプ前大統領を支持しない姿勢を示したものと受け止められている。
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AFPのエミリー・サイデル最高経営責任者(CEO)は5日にスタッフや活動家に宛てた3ページのメモで、トランプを名指しはしていないものの、「共和党は米国の核となる理念に反することを説く間違った候補を指名しようとしている。米国民はそれを拒否する」と書いている。そのうえで「2025年には新しい章を代表する大統領を誕生させるのが米国にとって最善だ」との考えを示した。

ワシントン・ポストは関係筋の話として、AFPは今年夏までにひとりの候補者への支持を表明する予定だと報じている

AFPは大きな影響力をもつ政治団体で、2022年の中間選挙にも深くかかわった。同じメモによると、関連団体の「AFPアクション」と共に全米で457の選挙で応援活動などに従事。連邦政府の記録によれば、同年の選挙では候補者への支持や反対に6900万ドル(約91億円)を支出している。
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12年の大統領選では、バラク・オバマ大統領の再選に反対する大口献金者のひとつだった。16年と20年の大統領選ではおおむね傍観する立場をとっている。

トランプと距離を置く保守派団体や共和党の大口献金者はAFPが初めてではない。財政保守派の代表的団体のひとつ「クラブ・フォー・グロース」のデビッド・マッキントッシュ会長は、トランプとは「注力していることが違う」とニュースサイトのアクシオスに語っている。

大手投資会社ブラックストーンのCEOで、共和党の大口献金者であるスティーブン・シュワルツマンは、共和党も民主党も「次の世代のリーダー」を選ぶ方向に動く必要があるとの考えを示している。

トランプは昨年11月に次期大統領選への立候補を発表した。共和党のなかではすでにトランプ支持を明らかにしている著名議員もいるが、多くの議員は沈黙を保っている。同党の大統領候補選びではフロリダ州のロン・デサンティス知事が最有力候補とみられているが、まだ出馬は表明していない。先週には、トランプ政権で国連大使を務めたニッキー・ヘイリーが近く立候補を表明する見通しだと報じられた。

チャールズは弟のデビッド(2019年に死去)とともに巨大複合企業コーク・インダストリーズを経営した。フォーブスの長者番付では、推定資産額592億ドル(約7兆8200億円)で世界20位につけている。デビッドの妻ジュリア・コークの一族も、コーク・インダストリーズの株式を中心に同じく推定592億ドルの資産をもつ。

forbes.com 原文

編集=江戸伸禎

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