ビジネスからの視点
ユニリーバのアラン・ジョープ最高経営責任者は、「サプライチェーンの分断化は、もう一つのインフレ圧力である」と、より一般的な不平等の危険性について警告しています。「生活費の危機は、ピラミッドの底辺にいる人々に不均衡に大きな打撃を与えます。金利の引き締めや景気刺激策について多くの議論がなされていますが、不平等が拡大する長期的な傾向を打破する唯一の方法は、生産性だと考えます」とジョープ氏。
”不平等が拡大する長期的な傾向を打破する唯一の方法は、生産性だと考えます。”
— ユニリーバ最高経営責任者、アラン・ジョープ氏
ユニリーバは、自社の従業員の給与を増加させたと話す同氏は、他の企業も同様の決断をするよう促しました。
経済学者であるカリフォルニア大学バークレー校のローラ・ダンドリア・タイソン教授も、賃金の根本的な問題を強調しました。「生活費の危機は、今に始まったことではありません。それは、以前から存在したもので、多くの人が苦しんできたものです」。
”生活費の危機は、今に始まったことではありません。それは、以前から存在したもので、多くの人が苦しんできたものです。”
— カリフォルニア大学バークレー校、ローラ・ダンドリア・タイソン教授
食料、エネルギー、そして、決定的なのは住宅にかかる費用。経済的な闘いは真新しいものではありません。「生活費の大部分を占めるこうした分野の価格高騰は、生活賃金や貧困の問題を世界中で悪化させたのです」と、タイソン氏は語りました。
インフレ危機からの脱却策
この課題に対処するために、同氏はインフラの重要性も強調しました。そして、住宅供給の計画や認可に関して長年抱えている問題に取り組み、より多くの住宅ストックを形成し価格を下げることを提案した上で、気候危機への対応やテクノロジーの活用がインフレへの世界的な対応に役立つと話しました。最後に、IMFのゴピナート氏は、インフレ抑制のための意義ある動きは、おそらく失業率の上昇を招くことを警告しました。「米国やユーロ圏では、失業率は過去最低水準にあります。金利をこれだけ引き締めた場合に金融政策がどのように機能するかについて、私たちが見通せることは、失業率の上昇に尽きます。そして、それがインフレを下げる方法になるのです」。
(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)
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