健康のために「ノンアル」を選ぼうとする人は多いものの、それまで飲んできたビールやワイン、カクテルといったアルコール飲料と同じようにおいしいものを見つけるのは、なかなか難しいかもしれない。
そこで候補に挙げられるのが、日本茶だ。食事と一緒に楽しむドリンクとして選ぶべき理由は、いくつもある。
ペアリングしやすい緑茶
甘味、塩味、苦味、酸味に続く第5の味覚と呼ばれる「うま味」成分が豊富な日本茶は、食事とのペアリングがとても簡単。日本茶は種類も数多く、それぞれに異なるうま味と甘味、苦味を持っている。ミシュランの星を獲得したニューヨークのレストラン、クラウン・シャイ(Crown Shy)のシェフ、ジェームズ・ケントは、調理にも日本茶を使っている。
例えば、48時間かけて調理する牛肉のショートリブに最もうま味と甘みが強い玉露茶を使うと、肉が柔らかく、ほろほろになるという。また、きのこのスープをかけたフォアグラ入りの茶碗蒸しには、緑茶を焙煎して作る、香ばしさが特徴のほうじ茶を使っている。
より独創的なペアリングを提案するシェフもいる。ケントに日本茶を卸している専門店ケトル(Kettl)のザック・マンガンは、高級玉露の産地として知られる福岡県八女市産の煎茶を使い、「伝統的ではない」炭酸入りの緑茶を考案した。
すっきりした味わいで最も人気のある煎茶に炭酸──。飲めばその刺激に、少し驚かされるかもしれない。だが、お茶の甘味と植物系の香調(ノート)は、口に入れる料理と高いシナジー効果を発揮する。
マンガンは、どんなものにも合う日本茶は、そのままでも料理と合わせても、どちらでも十分に楽しめるものだと話している。
健康に良い日本茶
日本茶は、健康効果も証明されている。そのこともまた、アルコールに代わるドリンクとして選ぶべき理由の一つだ。緑茶には、カテキンの一種であるエピガロカテキンガレート(EGCG)などの抗酸化成分が豊富に含まれる。EGCGは炎症を抑制するほか、免疫力を高め、効率よく脂肪を分解することがわかっている。抗がん作用や、心臓病の予防効果もあるという。
緑茶はそのほか、ストレスの軽減や気分・認知機能の改善などのメンタルヘルス向上効果があるアミノ酸のL‐テアニンも多く含んでいる。
ただ、緑茶はカフェインも含むことから、夕方以降に飲むことについて心配する人もいるかもしれない。気になる場合は、カフェインをほとんど含まない種類を選べばいい。先述のほうじ茶がその一つで、焙煎することによって、カフェインの量が減少している。
そのほかにカフェインの含有量が少ないのは、若枝や茶葉の柄、新芽の茎を集めた「茎茶」だ。京都では「かりがね」、九州では「白折」とも呼ばれている。
日本からの緑茶の輸出額は2021年、200億円を超えた。輸出先の第1位は米国で、輸出量全体のおよそ50%が同国向けとなっている。高級茶も含め、日本茶はますます、日本以外でも手に入りやすくなっている。
(forbes.com 原文)