米北方軍のグレン・バンハーク司令官は6日、国防総省が当時「領域の認識のギャップ」が原因で脅威を察知できなかったが、その後の情報収集によって気球の存在を知ったと語った。中国の偵察気球は、トランプ政権時代に少なくとも3回、バイデン政権の初期に1回飛来していたというが、これらの4件の気球の飛行期間は直近の気球よりも短かったという。
トランプはバンハーク司令官の主張を否定し、5日のFOXニュースに対し、彼の大統領在任中には中国政府が「我々を大いに尊敬していた」ため、このような事件が「起こらなかったし、起こるはずがなかった」と述べた。
また、トランプの元顧問のジョン・ボルトンとロバート・オブライエンの2人も、トランプ政権下で中国の監視気球が探知されたことを知らなかったとFOXニュースに語った。
連邦政府は4日、サウスカロライナ州沖の大西洋の上空に浮かんでいた中国のスパイ気球とされるものを撃墜した。この気球は1日の時点で米国本土上空を飛行し始めたが、軍はスクールバス3台分の大きさのこの気球が地上に落下した場合の脅威を恐れて撃墜を躊躇し、トランプを含む共和党陣営の批判を浴びていた。
米海軍は現在、気球の破片の回収作業を進めており、バージニア州のクアンティコの施設で分析すると報じられている。中国政府は、米国による気球の撃墜を「民間の無人飛行船に対する無差別な武力行使」だと非難した。この気球は、米国に3つある核サイロの1つから約320キロ離れたモンタナ州ビリングス上空で発見されていた。
バイデン政権は中国への報復のための次のステップを検討しているとされ、議員らは連邦政府がなぜ気球の米国領空への侵入を防げなかったのかについての説明を求めている。民主党のチャック・シューマー上院院内総務は5日、事件に関するブリーフィングを2月15日に受けると発表した。共和党のケビン・マッカーシー下院議長も国防省に対し「ギャング・オブ・エイト」と呼ばれる議会指導部および上下両院情報委員会幹部向けのブリーフィングを要求している。