2022年10月に公開された「強制労働収容所で子どもたちがスマートフォンを作っている」というジョークがあるエピソードは、今後香港では放映されないとFinancial Timesが報道し、後に他のメディアも追随している。
この皮肉は中国の新疆ウイグル自治区を指しているようだ。同地ではイスラム教ウィグル族が大半を占める民族に対する集団虐殺が行われていると米国は主張しており、国連も当局が被収容者に労働を強制している証拠があることを確認している。
ディズニーはコメントを拒んでいる。
ディズニーを巡って中国に関連する議論が起きたのは、もちろんこれが初めてではない。同社は中国の巨大ビジネスに依存している米国の数ある多国籍企業の1つだ。Disney+は、天安門広場虐殺事件に言及しているという理由で『ザ・シンプソンズ』の2005年のエピソードを香港で配信することを中止した(Disney+およびその他の主要米国ストリーミングサービスは、中国で正式運用していない)。「同社が中国政府を喜ばせるために議論を呼んでいる番組を削除するという現地視聴者に対する明確な意思表示です」と香港中文大学のメディア政策教授グレース・ルアンがニューヨーク・タイムズに当時伝えた。
2020年に公開した『ムーラン』の実写リメイク版のエンドロールに新疆の中国政府当局への謝辞が含まれていたことで、ディズニーはさらに激しい砲火を浴びている。ディズニーと中国政府当局との癒着に対する批判は、株主からも噴出し、外国政府の関与を監視するためのデューデリジェンス(適正評価)を提案した。同社は香港の民主主義擁護団体からも批判を浴び、同団体は『ムーラン』のホイコットを呼びかけた。米国のマイク・ギャラガー下院議員をはじめとする複数の議員は、新疆当局を支持するディズニーを「同地での犯罪に関して世界にうそをついている」と非難している。
2016年に開園した上海のディズニーランドは、中国の「ゼロコロナ」政策による2年以上の閉園の後、2022年6月に営業を再開したが、新型コロナ感染拡大のために昨年中に少なくとも4回閉鎖を余儀なくされた。ディズニーは同社のテーマパーク、体験施設および消費者向け製品部門が、2022年10月までの1年間に287億ドル(約3兆8000億円)の売上を計上し、世界中で人々が施設に戻ってきたことで対前年比75%増となったことを報告した。
(forbes.com 原文)