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2023.02.09

「130億円も調達するべきではなかった」冷凍コーヒーのコメティアが大苦戦

Getty Images

2022年12月、コーヒーテック系のスタートアップCometeer(コメティア)は静かにレイオフを実施し、最高執行責任者を共同CEOに任命した。元従業員たちは、機能不全と幹部の入れ替わりの激しさや、これまでで最も多くの資金を集めたコーヒースタートアップで成長の鈍化、従業員数の50%近くの減少について話した。


Cometeerは注目を浴びていた。Counter Culture(カウンターカルチャー)やJoe Coffee(ジョーコーヒー)といった一流のパートナーブランドによって焙煎され、瞬間冷凍されたコーヒーを、リサイクル可能なアルミポッドに詰め、お湯を入れるだけで飲めるというそのコーヒーは、テック系のインフルエンサーやベンチャーキャピタルから愛されていた。

2021年10月、Cometeerが有名投資家から3500万ドル(約46億円)の資金調達を発表し、調達総額が1億ドル(約130億円)に達したとき、Cometeerは史上最高額の資金を調達したコーヒースタートアップとなった。「我々はApple(アップル)やTesla(テスラ)、Palantir(パランティア)、Wayfair(ウェイフェア)の人々を雇っています」と、創業者のマシュー・ロバーツは当時Forbesに語っている

「本物のテック企業の本物のテック社員がコーヒー業界に入ってくるという話です。彼らは、古いやり方に囚われている業界を変えるチャンスだと考えています」

しかし、その裏では、レイオフや幹部の離職、機能不全にはまり、成長の鈍化や将来への不安が生まれていた。6月と12月に行われたレイオフは、公に認められてはいないものの、それぞれ約20名、コメティアの従業員の10%以上が削減されたことが、Forbesの調べで分かった。また、秋に採用されたマーケティング担当が2週間しか勤務しなかったなど、同社の主要幹部が退職したり解雇されたりしている。この大量退職は、年末に約2万8000人だったサブスク数の伸びが、この半年で鈍化したことに起因している。1人が毎日1つのCometeerポッドを消費すると仮定すると、同社の年間売上は約2200万ドル(約29億円)のペースになる。

Forbesはこの記事のために、報復やキャリア機会の喪失を恐れて匿名を希望した16人の元社員や同社に近い人物に話を聞き、内部文書も確認した。その結果、人気の高い高品質の製品にもかかわらず、一貫性のない戦略と、善意はあるが経験の浅い創業者であるCEOの重圧の下で苦闘しているスタートアップの姿が浮かび上がってきた。

先月、Cometeerは2週続けて水曜日にレイオフを実施した際、最高執行責任者のマシュー・マンデルがロバーツと共に共同CEOに就任することを社内で発表した。Forbesが入手した12月の組織図では、会社のほとんどがマンデルの管理下にあり、LinkedIn(リンクドイン)で肩書き更新していた(ロバーツの肩書きは変わっていない)。そして金曜日、Cometeerのレイオフを監督してきた幹部、最高人財責任者のエリゼ・ノイマイヤーが自身の退社を発表した。

ノイマイヤーは、Forbesが確認したメールの中で、ピーク時に160人いた従業員が、現在は「およそ85人」になっていると述べ、同社の従業員数が47%減少していることを示唆した。(Forbesが確認した組織図によると、この数字には20人以上の契約社員や時間給社員が含まれているようだ)。「Cometeerチームの縮小に伴い、私の役割も縮小する必要があります」と、彼女は書いている。ノイマイヤーは、コメントの要請に応じなかった。Cometeerは、その人員数についてのコメントを拒否した。
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翻訳=上西雄太

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