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2023.02.07 12:30

気球撃墜に中国が反発する本当の理由

Getty Images

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中国の偵察気球を米軍の戦闘機が米国の空域で撃墜した数時間後、中国外務省は「強烈な不満と抗議」を表明し「必要ならさらなる対応をとる権利を留保する」と対抗措置をほのめかした。気球については「民間用のもので不可抗力によって米国に進入した」とあらためて説明し、撃墜は「明らかな過剰反応であり、国際慣例の重大な違反だ」とも主張した。
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しらじらしい言い分だと言わざるを得ない。なぜなら、各国がかねて自国の領空を通過する気球について事前に許可を得るよう求めてきたことを中国は知っているはずだし、過去に他国の空域に入った米国の民間用気球が他国で強制着陸させられたり、撃墜されたりした例があることも知っているはずだからだ。

気球の上空通過を認めてこなかった中国

そもそも、中国自体も長年、気球が自国の領空を通過することを認めず「不可抗力による進入」という主張も受け入れてこなかった歴史がある。

1990年代末、西側諸国は数々の危険な挑戦を通じて、中国が現在、監視目的で活用しているものと同様の気球技術を開発していた。当時、十分な資金のある冒険家らは気球での大西洋や太平洋の横断に乗り出しており、さらに1997〜98年ごろまでには、複数のチームが気球で安全に地球を一周することに情熱を傾けていた。

当時の中国は「開放」を進める一方、領土の一体性の維持をきわめて重視しており、中国上空を通過して地球一周をめざす気球飛行チームには早い時点で停止させたり、あまり望ましくないルートに変更させたりしていた。中国への進入を拒否された気球が、隣国のミャンマーに不時着したケースもある。
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中国は当時、強硬な姿勢を示すこともためらわなかった。たとえば1998年、英国の起業家リチャード・ブランソン率いるチームの気球がルートを外れて許可なく中国の空域に入った(ブランソン側が中国当局の着陸命令に従うのを拒んだことで、問題がいっそうこじれた)とき、中国側は飛行を継続すれば「結果については責任を負わない」と警告した。

このときは米英両政府がハイレベルで外交介入し、当時のトニー・ブレア英首相が個人的に懇願もした結果、ブランソンのチームはどうにか飛行を続けることができた。

1999年にはようやく、スイスの気球「ブライトリング・オービター3」が中国上空を無事通過できている。ただ、この場合も気球は中国の周縁部の飛行を指示され、中国の内陸部上空を通過することは明確に禁じられた。またこの措置は、この気球が大きな注目を集めている民間の取り組みであることを、中国当局が認識したあとにとられたものだった。

中国がこれまで自国上空の気球飛行を積極的に管理してきた点を考えると、今回の気球撃墜に対する抗議はいささか空虚に響く。この気球はスクールバス2〜3台ほどとも言われる巨大なものだったとされる。
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編集=江戸伸禎

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