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2023.02.08

ChatGPTの生みの親、サム・アルトマンが語る「AIと検索と資本主義の未来」

OpenAIのサム・アルトマンCEO

急成長するジェネレーティブAI分野でここ最近、最も注目され、最も議論を呼んでいるスタートアップがサンフランシスコを拠点とする「OpenAI(オープンAI)」だ。フォーブスは、1月中旬に同社の共同創業者でCEOを務めるサム・アルトマンにインタビューを行い、同社の人工知能(AI)チャットボット「ChatGPT」の最新の動向や、AIツールがグーグルの検索ビジネスにもたらす脅威について質問した。

──ChatGPTの人気ぶりや、収益化の推進、Microsoft(マイクロソフト)との提携などの状況を見ていると、ジェネレーティブAIのカテゴリーは今、転換点に差しかかっているように見えます。あなたの立場から、OpenAIはそのプロセスのどこにいると感じていますか?

今は確かにエキサイティングな時期だと思いますが、私としてはこれがまだ、きわめて初期の段階にあることを望んでいます。社会に前向きなインパクトを与えるこのテクノロジーは、今後も飛躍的な成長を遂げていくでしょう。言語モデルの「GPT-3」や画像生成AIの「DALL-E」のローンチのときも、同じことが言えたはずですが、私たちはChatGPTについても同じ思いを持っています。予想もしなかった障害にぶつかる可能性もありますが、私たちが今、非常に重要なものを生み出したことは確かで、このパラダイムは、我々をはるか彼方へ連れて行くことになります。

──2022年秋のChatGPTのローンチにあたって、社内では「立ち上げる価値があるかどうかさえわからない状態だった」という話を、御社のプレジデントのグレッグ・ブロックマンから聞きました。つまり、誰もがこのプロダクトの凄さを理解している訳ではなかったということですか?

チーム内で意見が分かれることは珍しくはありません。「とりあえずやってみよう。やってみてどうなるか見てみよう」という感じでした。私自身はうまくいくと思っていました。

──以前の取材で、ChatGPTの成り立ちや運営について、十分理解されていない部分があると話していましたね。どのような点が誤解されているのでしょうか?

まず言えるのは、ChatGPTのベースモデルは、長い間、おそらく10カ月ほど前からAPIに含まれていたということです(注:ChatGPTは2020年にAPIが公開された言語モデルGPT-3のアップデート版とされている)。驚くべきことの1つは、ChatGPTがそのモデルにわずかな微調整を加えた結果、生まれたものであることで、根本的に新しいものではないということです。多くの人は、これがGPT-3がGPT-4に進化した結果だと思い込んでいるようですが。

──ここ最近は、AIのエコシステム全体が盛り上がっていますが、これはあなたにとって有益な上昇気流でしょうか? それとも、煩わしいノイズを生んでいると思いますか?

両方です。間違いなくその両方です。

──今の状況は、このカテゴリに参加するすべての企業にとって意味のあるエコシステムを形成しつつあると思いますか?

はい。このカテゴリは1つの企業にとっては大きすぎると思いますし、私はここに本当のエコシステムが生まれることを期待しています。将来的には複数のAGIが存在するようになるはずです。ですから、私はこの状況を歓迎しています(注:日本語では汎用人工知能と訳されるAGI は「Artificial General Intelligence」の略。意識を持ち、自己改良が可能で、理論的には人間の管理を超えることが可能なAIをこう呼んでいる)。
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編集=上田裕資

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