太古のタトゥーは「治療」だった? 現代も指摘される癒しの効果

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現代のタトゥーにも治癒効果?

エッツィは、古代に入れ墨が行われていたことを示している。また、米国の先住民族イロコイ族やホーデノショーニーのコミュニティでも、何世代にもわたってヒーラーやタトゥーアーティストが、人々に入れ墨を施してきた。

タトゥーを入れることは、痛みをともなうものだ。だが、それは(幸せホルモンとも呼ばれる)脳内ホルモンのエンドルフィンを分泌させるものでもある。2016年に『American Journal of Human Biology(アメリカン・ジャーナル・オブ・ヒューマンバイオロジー)』に掲載された研究結果は、タトゥーが免疫系を強化する可能性があることを示唆している。

また、タトゥーは体に残った傷跡によって、常に過去の負傷を思い出してしまうという人に安心感を与えることができるという。2019年に発表された研究結果は、ケガや手術、自傷行為などで残った傷跡を隠すためにタトゥーを入れる人は多く、そうした人たちはタトゥーによって、心の健康が増進される可能性があると指摘している。

乳がんで手術を受けた人たち向けに、乳首にタトゥーを施す治療を行っている米国の医療用タトゥーの専門家によると、シャワーを浴びるたびに「自分はがんにかかったのだと思い出さずに済むようになる」と話す女性は多いという。

古代のアイスマンは、痛みを和らげ、狩りをし、活動的な生活を送るために入れ墨を入れていたのかもしれない。21世紀の現在も、タトゥーは一部の人たちに、癒しを与えていると考えられる。

forbes.com 原文

編集=木内涼子

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