こうした状況を最もよく表しているのが、OpenAI(オープンAI)と同社が開発した対話型ロボットの「ChatGPT」だ。フォーブスの推計では、ChatGPTのユーザー数は、リリースから60日足らずで500万人を突破している。
ChatGPTは、ペンシルベニア大学ウォートン校の期末試験で「B」評価を獲得するほどの頭脳を持っており、間もなくマイクロソフトのOfficeをはじめ、数多くのビジネス向けアプリケーションに組み込まれる予定だ。
しかし、OpenAIのCEOのサム・アルトマンと社長のグレッグ・ブロックマンは、ChatGPTのリリースを棚上げすることを検討していたという。
ChatGPT以外では、Stability AIのオープンソース画像生成モデル「Stable Diffusion」が、ポップミュージックビデオやハリウッド映画で用いられ、1千万人以上が日常的に使っている。同社のCEOのエマド・モスタクは「ドットAIバブル」の到来を予想している。
評価額が290億ドル(約3兆8000億円)に達したOpenAIや、評価額が10億ドル(約1300億円)のStability AIがトレンドの兆候だとすると、AIへのシフトはすでに始まっている。
フォーブスが専門家たちに取材したところ、市場での展開についてはさまざまな意見が出た。しかし、確実にいえるのは、近い将来、AIが人々の仕事のやり方を変えるということだ。
ここではChatGPTやStable DiffusionをはじめとするジェネレーティブAIについて、おそらく多くの人々が知らなかった6つの事実を紹介する。
1.ビッグテックのビリオネア創業者の現場復帰
ビル・ゲイツはAIに熱中しており、現在は自身の時間の10%をマイクロソフトで過ごし、製品チームとミーティングを行っているという。また、グーグルではCEOのサンダー・ピチャイが「コードレッド(緊急事態)」を発動して同社のAI戦略を転換し、ChatGPTのようなツールへの対抗策を練るよう指示したと報じられている。これを受け、表舞台から遠ざかっていた創業者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンが現場に復帰した。ブリンは、1月に数年ぶりにコードリクエストを提出し、グーグルの自然言語チャットボット「LaMDA」のコードにアクセスしている。