Alexaはより使いやすく。今、力を入れている「2つのこと」
アマゾンは先端の音声サービスやセンシング技術の活用により、ユーザーの暮らしに利便性をもたらす「アンビエントインテリジェンス」という概念を提唱している。北米で2014年にAlexaを搭載するスマートスピーカーEchoを発売後、さまざまなデバイスやサービスを結びつけながら、ユーザーの生活環境にアンビエントインテリジェンスの網を張り巡らせてきた。リンプ氏は「最初のEchoシリーズを発表した当時から、10年後には何万以上のユーザーがスマートスピーカーのEchoと身近に過ごし、Alexaに話しかけている暮らしを思い描いてきた」としながら「どうですか? 今は私の思っていた通りになったでしょう」とうれしそうに微笑んだ。
リンプ氏は現在、アマゾンではAlexaを軸とする音声サービスをさらに洗練させるため「2つの大事なこと」に取り組んでいると語る。
「1つはAlexaのスムーズな会話力を高めること。そしてもう1つは『パーソナライゼーション(個人最適化)』を実現することです。パーソナライゼーションは、今後数年間に音声サービスなどさまざまなテクノロジーのトレンドになるとみています」
現在、アマゾンの音声サービスは、会話相手の老若男女を問わず快適に使える。一方でリンプ氏は個々のユーザーを識別して、ユーザーが「したいこと」に寄り添うことのできるパーソナルアシスタントも今後は追求したいと話す。
快適な音声サービスを実現する取り組みには、その1つとして最先端のAIテクノロジーにより、まるで人間と会話を交わすように自然なやり取りを実現する「Alexa Conversations」がある。サービスは英語から北米とカナダのみで提供を開始している。この機能の多言語・多地域対応について、リンプ氏はこれからの見通しを具体的に言明しなかったが、次のように説明を加えた。
「アマゾンは現在『Alexa Teacher Model」と呼ぶ大規模言語モデルの研究開発にも注力しています。従来、音声サービスを開発する際には多くのデータを集めて、それぞれに人力でタグ情報をつけるといった途方もない労力を重ねていました。大規模言語モデルを活用することにより、AIが自ら機械学習を重ねて言語の仕組みを知り、知識を広げることも可能になります。大規模言語モデルの実用化が見えてきたことで、今後はAIとの音声コミュニケーションがより自然なものになるという明るい期待を抱いています」
リンプ氏はアマゾン独自のノウハウを、今後もAlexa Conversationsのような次世代音声サービスの開発に投じていく考えを述べた。