新規格の上に「アマゾンらしさ」を追求する
昨年の秋に、スマートホームの新規格である「Matter(マター)」が本格始動した。アマゾンはMatterの標準化団体であるCSA(Connectivity Standards Alliance)の創立当初からのボードメンバーであり、規格の骨子をつくることにも長く汗をかいてきた。「Matterという新しい規格は、Wi-Fiに対応するスマートホームデバイスにプラットフォームを超えた互換性、ボックスから取り出してすぐに使える快適さをもたらすために策定されました。スマートスピーカーのAmazon EchoシリーズにはMatterにも対応するハブ機能が搭載されます。誰でも簡単に使えるAlexaによる音声サービスを活用して、Matter対応のスマートホームデバイスも声でシンプルに操作できることは大きなユーザーメリットになると考えます」
日本でも発売されることが決まった第5世代のEcho Dot with clock。本機もMatterのWi-Fi経由による対応を実現したデバイスだ
Echoシリーズに代表されるアマゾンのスマートデバイスの多くは「Amazonフラストレーションフリーセットアップ」という簡単セットアップ機能に対応している。例えば、ユーザーのWi-Fi認証情報に暗号化処理をかけていったんアマゾンのクラウドに登録する。機能に互換性のあるデバイスであれば、初期設定の際にまたWi-Fiのアクセスポイントを指定、パスワードを入力する作業の手間が省ける。
リンプ氏はアマゾンのデバイスとサービスをMatterに対応させた上で、今後も「アマゾンらしい価値」を変わらず追求することが大切なのだと強調した。
デバイスとサービスの結びつきをさらに深める
リンプ氏は、アマゾンのデバイスとソフトウェアによるサービスをより深く結びつけて、新たな付加価値を創造することの意義を説いた。昨年秋には10.2インチの電子書籍リーダー「Kindle Scribe」を発売した。Kindle電子書籍本ストアのサービスにアクセスして、ダウンロードしたコンテンツが「読める」だけでなく、専用のスタイラスペンで自由に文字やイラストが書けるデジタルノートとしても機能する。電子書籍ビュワーとデジタルノートの役割を兼ねるデバイス「Kindle Scribe」も発売中だ
また、昨年末には無償のソフトウェアアップデートにより、スマートディスプレイのEcho Show 15にFire TV機能が追加されたことも記憶に新しい。アマゾンは今後も原点に立ち返りながらアンビエントインテリジェンスのエコシステムと結びつくデバイスやサービスの進化を、これからもひたむきに追い求めていくという。AIによる音声サービスの進化をリードしてきたアマゾンの動向に、今年はますます多くの関心が集まるだろう。数多くの結果を残すことで「勢い」を証明してもらいたい。
連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
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