宇宙

2023.02.11 15:00

ウェッブの次は? NASAが計画する次世代宇宙望遠鏡3基

残る望遠鏡2基は?

X線望遠鏡は、これまでのX線観測所と比べて大幅に広い視野と高い感度を持ち、太陽系にある木星の極から、時空の果てのブラックホールまで、あらゆるものを観測する。

FIR望遠鏡は、宇宙の起源と未来の解明に挑む。宇宙の形成過程での水の痕跡を追いかけると共に、星形成領域、および星形成の材料となるちりが密集する冷たい領域の化学的複雑性を観測する。 

しかしこの次世代望遠鏡群への道はまだ険しい。

現行の開発パラダイムは、よく言って産業革命前、あるいは手作業の職人方式だとトレンブレーは言う。ミラーから焦点面まで、すべてが一点ものだ。


2022年7月12日、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の撮影した最初の画像がロンドンのピカデリー・サーカスで公開された(Getty Images)

ウェッブ開発で学んだ教訓とは?

最大の教訓は、新技術の案を後回しにしないことだとトレンブレーは言う。望遠鏡の製造を始める前に、最もリスクが大きく不確かなテクノロジーの開発に取り組み、最大の難関をまず克服することが重要だ。

開発に膨大な時間がかかった理由は?

ウェッブの開発中、米国では4つの政権が入れ替わり、22回の政府機関閉鎖が起きたとトレンブレーは指摘する。

望遠鏡に使われている金属を曲げるまでに、10件の全く新しい技術が必要だった。ミラーを磨き始めたのは、10件中5個が発明される前だった。

さらにウェッブには9階層の下請けと9の法務チームがいた。下請けの階層を追加するとあらゆるコストが増加するので、正直なところ、ウェッブの建設に20年かかったことに驚いていない、とトレンブレーは言う。

望遠鏡群がもたらす目に見えない価値は?

現代社会は大きく分断されているが、地球の外の世界については、誰もが魅了されているとトレンブレーは言う。私たちはどこから来たのか、これからどこへ行くのか、そしてどうやってここへ来たのか。

「これらのすばらしい望遠鏡は、自分たちが地球という孤独で輝かしい楽園に存在する一つの文明だというように感じさせてくれる。それには底しれぬ力が秘められている」とトレンブレーは語った。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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