起業家

2023.02.07

合言葉は打倒テスラ。新しい「脳みそ」でつくる完全自動運転車

TURING創業者の青木俊介

「打倒テスラ」を掲げ、完全自動運転車の開発を進めるのがTURINGだ。

この分野の研究で世界最高峰といわれる米カーネギーメロン大学の博士号をもつ青木俊介と、将棋AI「ポナンザ」の開発者である山本一成が2021年に共同創業した。「テスラは製品力でイノベーションを起こし、人類を一歩前に進めた。自分たちも完全自動運転車を実現し、日本から新たな産業をおこしたい」と話す青木たちが目指すのは、目的地を告げるだけで、人間の補助なしにゴールまで連れていってくれるレベル5の完全自動運転車だ。

その実現には、人間の代わりに障害物などを認識し、即座に最適な行動を判断できる「脳みそ」=AIの搭載が不可欠となる。

これまで、高精度のセンサーで多くのものを認識し精緻な地図情報を覚えさせれば、いずれ自動運転は可能になると思われていた。が、「実際人間は思ったよりも高度な判断をしていて、そのルールをすべてプログラミングするのは不可能。つまり、脳みそそのものの精度を上げる必要があるんです」。

現在はAIのアルゴリズム開発のため、走行実験を繰り返しデータの取得を進め、今後は車体も開発・製造する自動車メーカーを目指す。「自動運転車の実現は、車好きのためじゃない。運転できなくて行動が制限されている人たちの可能性をエンパワーメントしていきたい」


あおき・しゅんすけ◎1989年生まれ。米カーネギーメロン大学でPh.D.を取得。帰国後にTURINGを創業し、共同代表/CTOを務める。国立情報学研究所助教。

text by Mikako Tsutsumi photograph by Shunichi Oda

この記事は 「Forbes JAPAN No.101 2023年1月号(2022/11/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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