社会経済環境の変化とは、つまり次のような現象だ。集中から分散、クリーンエネルギー・グリーン化志向、多様性社会、デジタル化社会、健康志向、個の尊重、自然志向、人間性の回復など。こうした変化が激しい中で、SDGsをうまく活用していくという。
とても物腰の柔らかい佐竹知事だが、変革への決意は固いようだ。
「SDGsパートナー制度」もカギに
「大変革の時代に、かけがえのない“ふるさと秋田”を大胆に前に進めるための政策のひとつが、SDGsパートナー制度です。これには、関係者の連携を促進する狙いがあります」(佐竹知事)事業活動などを通じてSDGsの達成に意欲的に取り組む県内の企業や団体、自治体などを登録・PRする「秋田県SDGsパートナー登録制度」は、2021年9月にスタートした。県内のSDGsの取り組みを「見える化」し、その裾野を広げたいという狙いがある。
「アワードの受賞者には、SDGsパートナーの皆さんの先頭に立って、SDGsの推進役として県内をけん引していただきたい」
ちなみに、このようなプラットフォームは全国各地の自治体で立ち上がってきている。本コラムでも過去に熊本県の「熊本県SDGs登録制度」を紹介した。秋田県のような、パートナー制度があり、企業などを登録・認証するタイプには、次のようなものがある。
・埼玉県さいたま市「さいたま市CSRチャレンジ企業認証制度」
・埼玉県さいたま市「CS・SDGsパートナーズ」
・神奈川県「かながわSDGsパートナー制度」
・長野県「長野県SDGs推進企業登録制度」
・岡山県真庭市「真庭SDGsパートナー制度・真庭SDGs円卓会議」
・山口県宇部市「宇部SDGs推進センター、宇部SDGsフレンズ」
こうした地域レベルでの連携のスキームは次々にできている。それぞれ特性があるので、自分の自治体についてぜひ調べてみてほしい。
「思いやり・つながり・もったいない」
佐竹知事の話で共感したのが「SDGsというのは、日本に昔からある“思いやり”“つながり”“もったいない”などと共通するので、SDGsのポテンシャルは高いと思う」という言葉。筆者は以前から日本の「三方良し」のひとつである「世間良し」がSDGsにあたるとして、「発信型三方良し」を提唱してきたこともあり、この佐竹知事の言葉には共感した。
「あきたSDGsアワード」からの帰り道、秋田駅には「なまはげ」が飾ってあった。秋田県といえば世界遺産の白神山地(一部)も有し、豊かな自然・文化に恵まれた土地。
アワードの初開催でより勢いを増す秋田県。「高質な田舎」を目指すとともに、SDGs先進地域になることを期待したい。