注目が集まる「幻覚剤の少量投与」について心理学者が解説

幻覚剤のマイクロドージングによって認知力や気分を高めることがトレンドだが、その仕組みは解明されているのだろうか(Getty Images)

#2.規制と標準化の矛盾によるさらなる課題

幻覚剤は今も大部分が違法であり規制もされていない。その結果、闇市場には、安全な幻覚剤をまねた薬物がしばしば横行する。

その種の代用品の一例がNBOMeだ。2010年以降、この薬物が無知な利用者に対してLSDとして販売された証拠がある。危険なのは、2020年の研究が強調しているように、NBOMeの使用は有害、有毒であり場合によっては死に至ることが知られていることだ。

マイクロドージングにともなうリスクを知ることは絶対に不可欠であり、その薬物が未知のものであったり規制されていない経路で入手したものであればなおさらだ。これは、薬物の未知の不純物や投与量のためだけではなく、まったく異なる潜在的に危険な薬物を摂取している可能性があるためでもある。

自分を守る最善の方法は、規制されていない薬物には一切近づかないことだ。

現在幻覚剤療法が合法なのはわずかな地域のみであり、米国の一部の州では、特定の症状に対して資格のある医療提供者の監督下での使用が認められている。多くの都市や州において、薬物の所持を非犯罪化し治療的使用を合法化する動きもあるが、幻覚剤療法の利用は今も極めて限られている。これは時間とともに変わると見られている。

慎重に接すること

幻覚剤のマイクロドージングは人気を得つつあるトレンドだが、慎重に接することが大切だ。なんらかの潜在的利益はあるかもしれないが、そこにはリスクもある。マイクロドージングの使用を決断する前に、医療専門家に相談し、地域の規則を理解し、あらゆる悪影響に注意を払うことが重要だ。マイクロドージングは専門的な医療や薬物療法の代用品ではないことを忘れないでほしい。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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