公衆衛生上の危機
言葉は重要だ。メディアがイスラム教徒をいかに描くかということも、重要だ。イスラム教徒たちに向けられる中傷的な物言いは、彼らのメンタルヘルスに影響を及ぼしている。米国のイスラム教徒に関して昨年、実施された調査によると、彼らが暴力事件を起こす可能性は、その他の人種、他の宗教・無宗教のグループと変わらず、米国の成功と安定に同程度に関与・投資している。また、より女性を蔑視する傾向があるのは、イスラム教徒以外の人たちだった。
だが、一方で2016年以降、米国では「イスラム嫌悪」を表す言葉が使用されることが大幅に増加している。これは、人々がますます、メディアが誤って描く「イスラム教徒の反米感情」をうのみにし、偏って多く報じる「イデオロギーに突き動かされたイスラム教徒の暴力」を内面化していることを示唆している。
調査によると、同じ宗教を信じる他者の暴力について、自身に責任の一端があると考える傾向が最も強いのはイスラム教徒だという。そうした「抑圧の内面化」は、彼らが自身のコミュニティに関する否定的なステレオタイプ化を受け入れているために起きている。
米国のマスメディアは、イスラム教徒のコミュニティに向けられてきた言葉について、責任を負わなければならない。こうした状況を改善するのは、誤った言い方をせず、否定的なステレオタイプ化をやめることだ。
「イスラム嫌い」は、米国の公衆衛生上の危機だ。米国の成功と繁栄は、国に重要な貢献をする多様な人々一人ひとりの、ウェルビーイングにかかっている。
(forbes.com 原文)