資金調達そのものよりも、金融業界への影響の方が大きい。実際、自身の影響に関するChatGPTの回答は、「AIとプラットフォーム」が国境を越えた決済の将来にもたらす潜在的なその影響を過小評価している可能性がある。
本当の意味での「顧客サービス」ではない
私のように、銀行で満足のいく自動顧客サービス体験をしたことがない人は多いだろう。私の場合、チャットボットや電話応対システムとのやり取りでは、熟考された返答をタイプするよりも、電話の「9」のボタンを連打するか、チャットでは「Eメール」とタイプして、人間か、少なくともEメールのインターフェースに到達するのが一般的な方法だ。正直なところ、現在のチャットボットは……ひどいものだからだ。しかし、ChatGPTが使える未来を想像してみてほしい。例えば「お母さんに1000ドル(約12万8000円)送金して」と、書き出せるような未来を考えてみよう。あるいは「5万ドル(約643万円)の信用状を作って、うちの銀行に送って」などだ。可能性は無限大で、そして何より現実的だ。
やはりデータがすべて
ChatGPTの現在のベータ版では、例えば「申し訳ありませんが、個々の投資目標、リスク許容度、時間軸に依存するため、特定のポートフォリオを推奨することはできません……。また、投資を決定する前にファイナンシャルアドバイザーに相談することが重要です」と、金融に関するアドバイスを求めると非常に堅実な返答をしている。そのとおりである。もしあなたが直接会ったこともないチャットボットから投資のヒントを受けているのであれば、改めて投資をするべきかどうか自体、考え直した方がいいかもしれない。もしくは代わりに私に直接お金を送ったほうがいいのかも……。ChatGPTは明らかに私たちの個人的な銀行情報にはアクセスできないが、将来、銀行の管理下に移れば、この技術がアクセスすることは可能だ。私たちは常に、ブロックチェーン/DLT(分散型台帳技術)はすばらしい技術であり、既存のビジネスモデルや技術インフラを段階的にアップグレードするものであると主張してきた。ある程度までは、銀行が今日DLTを無視したとしても、まだ明日には収益性の高い決済ビジネスを運営していることはできるだろう。しかしChatGPTの可能性は、金融と決済の未来の可能性を如実に示しており、これを無視することはできない。「エンベデッドファイナンス(組み込み型金融)」や「ハイパーパーソナライゼーション(1人1人の興味・関心・嗜好に合わせて最適化すること)」など、もう少しバズワードをうまく取り入れると、金融サービスのパラダイムがまったく新しくなるかもしれない。
まだこの技術について読んだことがない、あるいはもっと重要なことに、このツールを試したことがないのであれば、ぜひ試してみることをお勧めする。その影響は計り知れないからだ。
(forbes.com 原文)