この新型車こそ、トヨタが一番最初に作るべきだったプリウスだと思う。ルックスに対しても、パワーに対しても、燃費に対しても、これこそ最初に販売するべきだっただろう。
今までの4代のプリウスの外観を見ていくと、「美しい」という表現はどうしても使えなかった。1代めから4代めまでは、空力抵抗に優れていたかもしれないけど、美しいデザインは開発部には無関係だったらしい。つまり、美しさに欠けた今までのプリウスは、“道路を走る単なる電化製品”みたいなものだった。
しかし、ニュー・プリウスは違う。
この新型車に対して トヨタは「ひとめ惚れデザイン」という表現を採用しているけど、納得できるデザインなので文句は言えない。実は欧米でも高い評価を得ている。「どうしたの、トヨタ?!格好良いクルマが作れるじゃないか!」という同僚が何人もいる。
「初代が出た26年前から、プリウスに感動や興奮や情熱というものはなかったけど、今回は不思議に格好いいし、情熱を感じる! プリウスは美しい。僕がこんなにプリウスのデザインを褒めるなんて、嘘みたい!」とアメリカの有力ユーチューバー〈ダッグ・デミューロ〉はいう。
僕は先週、新型車に試乗するために、袖ヶ浦フォレスト・レースウエーに行ってきた。第一印象は、「うお、これは美しい! 何で今までこんな美しいクルマが作れかったのかな?」
さて、トヨタはどうして急にプリウスを格好良くしたのか? プリウスの顧客にとっては、格好良いデザインよりも、やはり燃費、信頼性、低価格の方が重要だろう。今まではそうだったけど状況が変わってきた。プリウスは売れなくなってきたからだ。
全世界的に、例えば、2017年と比べてプリウスの販売台数は半分以下に減ってしまった。強力なハイブリッドのライバルが登場したと同時に、航続距離が伸びた電気自動車も増えてきている。