フォーブスのリアルタイム・ビリオネアランキングによると、アダニの保有資産は1日午後にさらに減少して827億ドル(約10兆7560億円)となり、世界の富豪ランキングで8位から10位に転落した。アダニは先週、疑惑を指摘されるまでは世界3位の富豪だった。
一方、同じくインドの富豪のムケシュ・アンバニが保有資産839億ドルで9位に浮上し、アダニを抜いてアジアで最も裕福な人物となった。彼が会長を務めるリライアンス社は、石油化学やガス、通信、小売業を手がけるコングロマリットとして知られている。
アダニ・グループの旗艦会社のアダニ・エンタープライズの株価は、31日に中東の機関投資家の支援を受けけたにもかかわらず1日午後に5.6%下落し、他の上場企業6社の株価も1日午後に下落した。
アダニの保有資産は先週、ヒンデンブルグ・リサーチが疑惑を公表して以来、420億ドル以上減少している。
ムケシュ・アンバニとゴータム・アダニは、ともにインドの巨大財閥のトップだが、直接の衝突を避けてきた。アンバニのリライアンス社が通信、メディア、小売分野に注力したのに対し、アダニはインフラ、運輸、エネルギーに注力した。しかし、近年は両社はともにグリーンエネルギーに軸足を移そうとしており、競争を避けられない可能性が浮上した。
ヒンデンブルグは先週、アダニ・グループの上場企業に対するショートポジションを公開し、同社が「数十年にわたる株価操作と不正会計スキーム」に関与していると非難するレポートを公開した。
アダニ・グループは、この疑惑を「悪意に満ちた悪ふざけであり、調査もされていない」と激しく否定し、法的措置を取ると脅している。ヒンデンブルグに対する413ページにわたる反論の中で、同社は彼らの主張が「単なる特定の企業に対する不当な攻撃ではなく、インドという国家とその成長物語に対する計算された攻撃」だと述べた。しかし、ヒンデンブルグは、アダニ・グループの反論を否定し、彼らが愛国者のふりをして「国家を組織的に略奪している」と非難している。
(forbes.com 原文)