ロイター通信によると、米下院外交委員会のマイク・マコール委員長(共和党)は、中国が台湾に侵攻するリスクは「非常に高い」と述べた。米空軍のマイク・ミニハン大将が内部メモで示した認識に基づくもので、「(ミニハンが)間違っていることを望むが、彼は正しいと思う」とも語ったという。
軍事衝突が不可避なのだとすれば、投資家もそれに備える必要がある。
もちろん最初にすべきは、上場投資信託(ETF)の「iシェアーズ米国航空・防衛ETF」組み込まれている銘柄など、防衛株をチェックすることだ。このETFは過去2年で27%上昇しており、上昇率はS&P500種株価指数の8%を上回っている。
ロシアによるウクライナ侵攻が押し上げに寄与したのは間違いない。ただ、このETFの上昇基調には、英国やフランスなど多くの国が防衛費の積み増しに動くなど、世界的に安全保障をめぐる懸念が高まっていることも背景にありそうだ。
投資家は先回りして動くものなので、台湾有事を織り込んだ防衛株上昇はすでに大半が実現されているとみていい。
だが、投資家には防衛株を買う以外の方策もある。
中国と台湾の間で戦争が勃発した場合(米国や日本、英国、フランスがそれに関与することになるのは不可避だ)、市場は株価急落で即座に反応するだろう。当然だ。戦争は経済を破壊するものだし、台湾有事の場合、影響がなんらかのかたちで世界全体に及ぶ可能性が高いからだ。
押さえておく必要があるのは、製造業にとっての台湾の重要性だ。米政府系メディアのボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、台湾積体電路製造(TSMC)をはじめとする台湾企業は世界の半導体の65%、最先端半導体では約90%を生産している。
もし台湾が中国の侵攻を受ければ、台湾の半導体生産は最低でも混乱に陥るのが必至だし、しばらくの間生産が全面的に停止するおそれすらある。
その結果、半導体価格が高騰するのは確実だ。ロシアがウクライナ侵攻を開始した際に原油価格が急騰したことを思い出してもいい。ロシアは世界全体の原油の10%ほどしか生産していないにもかかわらずだ。
こうした半導体供給の大混乱で得をすることになるのは誰か。中国の半導体産業に多少有利にはたらくのは確かだろう。だが、戦争が続く間、中国はおそらく西側諸国に半導体を売れなくなるはずだ。
賢い投資家なら、目をつけるのは韓国の半導体大手、サムスン電子だろう。韓国は米国の緊密な同盟国のひとつでもある。
ほとんどの投資戦略と同様、この戦略にもリスクはある。台湾海峡での戦争は起きないかもしれないし、その場合、サムスン株への投資は実を結ばないかもしれない。あるいは中国による台湾攻撃にあわせて、北朝鮮が韓国に侵攻することも考えられなくはない。
(forbes.com 原文)