このように高級車として名高いロールスロイス。他の高級車との違いはどんなところにあるのだろうか。
ロールスロイスの価格が高いのには理由がある
Shutterstockロールスロイスは言わずとしれた超高級自動車メーカー。直線的で伸びやかなボディに加え、トレードマークとなるボンネット前端のオブジェ「スピリット・オブ・エクスタシー」や、パルテノン神殿をモチーフにしたフロントグリルなどが備わるロールスロイスの外観は、誰もが高級車と認めることだろう。
ロールスロイスの新車価格は、SUVモデルのカリナンがおおよそ4000万円。長い間フラッグシップモデルとして君臨したファントムは5000万円超。比較的小型のゴーストでも3000万円からと、いずれも住宅並の価格。さらにオーダーメイドで製作された車種のなかには、数億円で販売された車もある。
ロールスロイスは高い価格と知名度から、その名前が「◯◯界のロールスロイス」のように、しばしば車以外の高級品の代名詞として用いられるほど。
内装はハンドメイド。ロールスロイスはこうしてつくられる
Shutterstockロールスロイスをロールスロイスたらしめるものは、美しい内外装と外界から遮断されたかのような高い静粛性。それに魔法の絨毯とも形容されるほどの優れた乗り心地といえる。
なかでももっとも目を引くのは牛革と木材で仕立てられた内装だ。ロールスロイスには最高級の素材が用いられ、イギリス・グッドウッドにある工場で1台1台が職人の手でつくられている。
1台あたりの内装には牛10頭前後もの革が贅沢に使用され、もちろん縫製や刺繍、組付けは手作業。厳選された牛の革だけを使用し、車種によって革の処理方法を変えることで風合いに変化をもたらしている。
内装のアクセントとなるウッドパネルは、高級家具や楽器にも使用されるローズウッドやマホガニーなどの天然木が使用されている。合計で5年ほど年月をかけて乾燥させてから加工し、車に組み付けられる。
エンジン音すら聞こえない高い静粛性を実現するために、車内に用いられる遮音材の量は100kg以上。天井に星空を表現したスターライトヘッドライナーは、手作業で内張りに何百もの穴が手であけられ、光ファイバーを1本1本通して製作される。
また、車体の塗色も手作業で行われる。ボディの塗装は何重にも塗り重ねられ、磨き作業ももちろん熟練工の手作業。ボディに描かれるコーチラインも機械を一切使わず、職人が筆を使って描いているのだ。
このように、内外装の装飾にかかる原材料費と職人の人件費だけでも、一般的な車を遥かに超える額になる。