この原作である「スラムダンク」は、日本では1990年から1996年にかけて「週刊少年ジャンプ」に連載されたバスケットボールを題材にしたコミック。世界中で翻訳され、累計1億7000万部を記録し、韓国でも1450万部が売れて、大ヒットした。
1990年代に韓国語に翻訳され爆発的な人気を得た「スラムダンク」は、「左手は添えるだけ(왼손은 거들뿐)」、「あきらめたらそこで試合終了(포기하면 그 순간이 시합 종료)」など、数々の名言を生み出した。もちろん、韓国語に翻訳された言葉で流行ったのである。
かつては人物の名前は韓国名に
映画「THE FIRST SLAM DUNK」のヒットに乗じて、韓国では20数年ぶりにコミックも再び出版され、人気となっている。ネット書店の「アラジン」では、週刊総合ベストセラーの2位から23位まで全て「スラムダンク」で埋め尽くされるほどだ。本の出版元である「デウォンシーアイ」は、「映画が公開されてから1カ月間で『スラムダンク』という名がつくコミックの本は60万部が発行された。この勢いなら累計100万部は突破するだろう」と語る。また、「スラムダンク」の人気に便乗して、グッズなども売れ行き好調である。
こうした現象について、日本のメディアも興味を示し「反日の風潮のなかで、なぜ?」とか「これが日韓関係を改善する架け橋になる」という論調の報道も多数見かけた。
日本側からすると、あれだけ反日を叫んでいた韓国の人たちが、今度はうって変わって日本のコンテンツに熱狂していることが理解できないのだろう。だから、これだけ日本のコンテンツを受け入れられるのであれば、反日は忘れて、これを機に日韓関係が改善すると考えるのかもしれない。だが、果たしてそうだろうか。
かつてコミックの「スラムダンク」が韓国語に翻訳された時、登場人物の名前や学校名は韓国名に入れ替わっている。つまり、日本のコンテンツとして受け入れられたというよりは、自分たちの物語として受け入れられていたのだ。
いまでは日本語名をそのまま使う場合も多いが、以前は韓国語に翻訳される時にはコミックやアニメの人物名は韓国名に置き換えられていた。
ドラえもんは「ドンチャモン」、クレヨンしんちゃんの名前は「チャング」、「スラムダンク」でも主人公の桜木花道は「カン・ペクホ」となっていた。